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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十四話 月下美人みたいな君
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花火大会に行こう!

「明日、花火大会に行こう!」

「行きましょー!!」

「うん、行こう」


 とある日の夕飯後、皆が寛いでいる時間に、透花、颯、湊人が笑顔で言った。

 賛同し盛り上がる者、あからさまに嫌がる者、急な提案に驚く者など反応は様々だ。


「実は、もう全員分の浴衣は用意してあります!」

「俺が全員分の柄をチョイスさせてもらいました!」

「僕が情報を提供したオーダーメイドだから、大きさもピッタリだと思うよ」


 この三人、とにかくノリノリである。

 透花と颯はともかく、インドアな湊人がこの手のイベントに乗り気なのは珍しい。

 それを口に出したのは、虹太だ。


「湊人くん、どうしたのー? いつもはこういうの嫌がるのに」

「いや、透花さんが全員分の浴衣を用意してくれるっていうからさ。タダで貰えるんだからお得でしょ。部屋着にできるように、僕は甚平にしてもらったんだ」

「なるほどね~」


 タダで貰えるものは全て貰っておけ、湊人の座右の銘の一つである。


「ゆかたなんて着たことないよー! やまとくん、楽しみだね!」

「………………………………♪」

「花火大会……。いか焼き……。わたあめ……。焼きそば……。りんごあめ……」

(オレも行くぞ! おい、シン! 連れてってくれよな!)

「僕、カキ氷を食べ切れたことがないんです……。いつも頭が痛くなってしまって……」

「ハルらしいな。俺は、せっかくだから型抜きに挑戦してーかも」

「祭か……。悪事を働く者がいないように、目を光らせておかないといけないな」


 盛り上がっている皆を横目に、理玖は静かにリビングを出ようとした。

 彼は人の多い場所が苦手なのだ。

 花火大会など、以ての外だろう。

 しかし、颯と湊人に捕まってしまう。


「理玖さん、どこ行くんすか!?」

「……僕はパス。みんなで行ってきていいから」

「え!? みんなで行きましょうよ! その方が絶対に楽しいっす!」

「そうですよ。僕、全員で行くの楽しみにしてたんですから」

「……よく言うよ。普段なら、君もこっち側のくせに」

「ふふっ。僕は臨機応変な人間ですから。自分にとって旨味のある方を選ぶだけです」


 理玖は、隠す様子もなくため息を吐いた。

 妙にテンションの高い二人の様子から、逃げられないと判断したのだろう。

 この男、最後にはなんだかんだ言って付き合ってしまう性分なのだ。


「理玖のため息は、肯定ととらせてもらうからね。じゃあ明日は、みんなで行こう!」


 透花が、満面の笑みを浮かべながら言う。

 こうして一色隊は、全員で翌日の花火大会に行くことが決まったのだった。

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