大好き!!
「かみかくし……?」
「……ああ」
「……最近、この辺りで流行っているのよ」
ぼくが泣き止むと、お父さんとお母さんがせつめいしてくれた。
たしかにあのにせものたち、自分のこと神のつかいって言ってたけど……。
「死者を想う気持ちに付け込んで、こちら側の世界に連れてこようとするんだ」
「今まで、何人が連れ去られたか……。あなたを守ることができて、本当によかった」
「お父さん、お母さん、ありがとう」
「礼なんて言わなくていいんだぞ」
「そうよ。親が子どもを守るのは、当たり前のことだもの」
二人は、とってもやさしい顔をしてる。
ああ、本当にお父さんとお母さんに会えたんだなぁ……。
「……だけど、そろそろ帰らなきゃいけないな」
「……そうね。これ以上ここにいたら、戻れなくなってしまうわ」
「え!? まだ会ったばかりなのに!? ぼく、話したいことがまだまだあるんだよ!」
「……また、来年の夏に聞かせてくれれば嬉しいよ」
「……ええ。私達は、いつでもここで待っているから」
「でも、こんな風には話せないよね……!? せっかく会えたのに……!」
止まったばかりの涙が、僕の目からまた流れる。
お母さんは、やさしくそれをふいてくれた。
お父さんは、ぼくの背中をゆっくりとさすってくれる。
「……大和、忘れてないか?」
「あなたがこっちに来てしまったら、蒼一朗はどうするの?」
「あ……!!」
そうしたら、お兄ちゃんが一人になっちゃう……!
お兄ちゃんといっしょにいられないなんて、いやだよ……!
「ぼく、帰るよ……。お兄ちゃん、きっとぼくのことさがしてるよね……?」
「……ああ、蒼一朗は大和のことが大好きだからな」
「お母さんとお父さんも、大和のことが大好きよ」
「ぼくも! ぼくも、お父さんとお母さんのこと大好きだよ! だから、おしゃべりできてすっごく楽しかった! また、ぜったいに会いにくるからね! ぼくの話、聞いてね!」
二人はうなずくと、そのままおはかの方に歩いていく。
そして、吸いこまれるように消えちゃったんだ――――――――――。