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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十三話 再会はカンガルーポーと一緒に
244/780

大好き!!

「かみかくし……?」

「……ああ」

「……最近、この辺りで流行っているのよ」


 ぼくが泣き止むと、お父さんとお母さんがせつめいしてくれた。

 たしかにあのにせものたち、自分のこと神のつかいって言ってたけど……。


「死者を想う気持ちに付け込んで、こちら側の世界に連れてこようとするんだ」

「今まで、何人が連れ去られたか……。あなたを守ることができて、本当によかった」

「お父さん、お母さん、ありがとう」

「礼なんて言わなくていいんだぞ」

「そうよ。親が子どもを守るのは、当たり前のことだもの」


 二人は、とってもやさしい顔をしてる。

 ああ、本当にお父さんとお母さんに会えたんだなぁ……。


「……だけど、そろそろ帰らなきゃいけないな」

「……そうね。これ以上ここにいたら、戻れなくなってしまうわ」

「え!? まだ会ったばかりなのに!? ぼく、話したいことがまだまだあるんだよ!」

「……また、来年の夏に聞かせてくれれば嬉しいよ」

「……ええ。私達は、いつでもここで待っているから」

「でも、こんな風には話せないよね……!? せっかく会えたのに……!」


 止まったばかりの涙が、僕の目からまた流れる。

 お母さんは、やさしくそれをふいてくれた。

 お父さんは、ぼくの背中をゆっくりとさすってくれる。


「……大和、忘れてないか?」

「あなたがこっちに来てしまったら、蒼一朗はどうするの?」

「あ……!!」


 そうしたら、お兄ちゃんが一人になっちゃう……!

 お兄ちゃんといっしょにいられないなんて、いやだよ……!


「ぼく、帰るよ……。お兄ちゃん、きっとぼくのことさがしてるよね……?」

「……ああ、蒼一朗は大和のことが大好きだからな」

「お母さんとお父さんも、大和のことが大好きよ」

「ぼくも! ぼくも、お父さんとお母さんのこと大好きだよ! だから、おしゃべりできてすっごく楽しかった! また、ぜったいに会いにくるからね! ぼくの話、聞いてね!」


 二人はうなずくと、そのままおはかの方に歩いていく。

 そして、吸いこまれるように消えちゃったんだ――――――――――。

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