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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十三話 再会はカンガルーポーと一緒に
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ほんもの

(まぶしい……!)


 光ったおはかの前には、だれかがいるみたいだった。

 よく見ると、それは……。


「お父さん、お母さん……」


 ぼくの、お父さんとお母さんだった……。

 今、ぼくの手を引っぱっている人たちとはちがって、二人はとうめいだ。

 ……ゆうれいなんだなって、すぐに気づいたよ。


「私達の息子を連れて行かせはしない」

「今すぐ、その手を離してもらうわ」

「ふん! 貴様らのようなただの幽霊に何ができる!」

「我々は、この辺りを治める神の遣いだぞ!」


 お父さんとお母さんの顔をした何かが、本当の二人と言い争ってる……。

 ……それは、とってもこわいけしきだった。


「ほら! ぐずぐずするな!」

「さっさとこっちに来るんだよ!」

「いたいよ! やめて!」


 二人のにせものが、僕を無理矢理引っ張る。


「……これ以上、大和に触れるな」

「……私達の息子、返してもらうわ」


 そう言うと、ほんものの二人がもっと光って……。


「ぐわああああああああああ!」

「ぎゃああああああああああ!」


 その光にとかされるように、にせものは消えちゃった……。


「……私達には確かに、特別な力はない」

「……でも、息子を愛する気持ちは誰にも負けないわ」


 二人は、ゆっくりとぼくに近づいてくる。


「本当に、お父さんとお母さん……?」

「ああ、そうだよ。大和、大きくなったな」

「さっきは、たくさんおしゃべりしてくれてありがとうね。お墓の中で、ちゃーんと聞いていたわ。お母さんも、ぱかおくんや透花さんに会ってみたいなぁ」


 やさしく頭をなでられると、ぼくの目からなみだがこぼれた。


「お父さん、お母さん……! こわかったよ……!」


 二人に抱きしめられながら、ぼくは声がかれるまで泣き続けたんだ――――――――――。

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