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ぼくの声
(お兄ちゃん! お兄ちゃん、どこ!?)
ぼくは、走ってお兄ちゃんをさがす。
だけど、どこにもいなくて……。
お兄ちゃんだけじゃなくて、ほかの人もいなくなっちゃってる……!
ぼくはこわくて、思わずさけんだんだ。
「お兄ちゃん! そういちろうお兄ちゃん! ……あれ?」
声が、出た……!
「え、なんで……? ぼく、またしゃべれるようになってる……!」
うれしくて、さっきまでのこわさなんてどこかにいっちゃったよ!
早くお兄ちゃんを見つけて、ぼくの声を聞いてもらわなきゃ!
「お兄ちゃーん! ぼくだよ、やまとだよー!!」
大きな声でお兄ちゃんを呼ぶけど、やっぱりどこにもいない……。
ぼくはいつの間にか、お父さんとお母さんのおはかまでもどってきていた。
お兄ちゃんがいないか見てみる。
「え……!?」
そこには、お兄ちゃんはいなかった。
でも……。
「大和、久しぶりだな」
「大きくなったわね」
お父さんと、お母さんがいたんだ……。