話したいことがたくさんあるよ
(それでね、うちにはぱかおっていうアルパカがいるんだよ! 白くてふわふわで、とってもかわいいんだ! お父さんとお母さんにも見せてあげたかったなぁ。あとはね……!)
おにいちゃんがおはかをそうじしている間、ぼくはお父さんとお母さんに話しかける。
この一年はたくさんのことがあったから、話しても話しても足りないよ!
(ぼくは、とうかお姉ちゃんのことが大好きなんだよ! 大きくなったら、ぼくのおよめさんになってもらうんだ! お父さんとお母さんにも、ちゃんとしょうかいするからね!)
「……おい、大和。そろそろ行くぞ」
(え!? もう帰るの!?)
「……そんな顔すんなよ。もう、かれこれ三十分は経ってるぞ」
おしゃべりにむちゅうで、そんなに時間が過ぎてるなんて気付かなかったよ!
まだまだ話したいことはたくさんあるけど、そろそろ帰らなきゃ。
ぼくは、お兄ちゃんの手をにぎった。
「……いっぱい話せたか?」
(うん!!)
ぼくは、大きくうなずいた。
おにいちゃんは、頭をやさしくなでてくれる。
「そっか。よかったな。じゃあ、暗くなる前に帰ろうな」
(はーい!!)
ぼくたちは、手をつないだまま歩き出した。
もうすぐおはかの出口というところで、強い風がふく。
(お兄ちゃん……?)
となりを見ると、さっきまで手をつないでたはずのお兄ちゃんがいなくなってた――――――――――。