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夏のこうれい行事
「じゃあ、行ってくるわ」
「………………………………!!」
「蒼一朗さん、大和くん、行ってらっしゃい」
ぼくとお兄ちゃんは、これからお父さんとお母さんのおはかまいりに行くんだ。
毎年、夏のこのじきになるとかならずするんだよ。
「あ、蒼一朗さん。ちょっといいかな? 実は……」
出発しようとしたら、とうかお姉ちゃんがお兄ちゃんをよんだ。
小さな声でおしゃべりしてるから、ないしょのお話みたい。
ぼくはくつをはいて、静かに待ってるんだ。
大人のお話は、じゃましちゃいけないんだよ。
「……よし! 大和、行こうぜ」
お話は、すぐに終わったみたい。
お兄ちゃんもくつをはくと、ぼくと手をつないでくれた。
「蒼一朗さん、大丈夫だとは思うけれど何かあったら落ち着いて、すぐに連絡してね」
「……わーってるよ」
「大和くん、気を付けて行ってくるんだよ」
とうかお姉ちゃんが、ぼくの大好きな笑顔で見送ってくれる。
すぐにはノートを出せないから、めいっぱいの笑顔を見せるんだ。
(とうかお姉ちゃん、行ってきます!!)
こうしてぼくとお兄ちゃんは、二人で出発したんだよ!!