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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十二話 ヒガンバナが見せるもの
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洗っても消えない

「助けて……!」


 飛び起きた俺の目に、見慣れた風景が映る。

 ……そこは、別荘で俺に与えられた部屋だった。


(夢、だったのか……)


 さっきまでの出来事が夢だったとわかって、俺はため息を一つ吐いた。

 だけど……。


(手を、洗わないと……!)


 俺はベッドから下りると、洗面所まで走った。

 そして、石鹸でゴシゴシと手を洗う。

 ……もちろん、夢の中みたいに汚れてるわけじゃない。

 だけど、あの感触が離れねーんだ……!

 洗っても洗っても、それは残る。


(なんで……!)


 何もついてないはずなのに、俺は手を洗うのを止められなかった。

 そんな俺の耳に、柔らかな声が届く。


「颯くん、どうしたの?」

「透花さん……!」


 俺はそのまま、透花さんに抱き付いた。

 透花さんは驚いてたみたいだけど、優しく抱き締め返してくれる。


「颯くん、大丈夫だよ。泣かないで」

「透花さん、俺……! 俺……!」

「落ち着くまで、どこにも行ったりしないから」

「うっす……! ありがとうございます……!!」


 ……俺は、自分でも気付かない間に泣いてたみたいだ。

 透花さんに背中を撫でられると、心が落ち着いていく。

 それと同時に、手の感触が薄れるのを感じたんだ――――――――――。

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