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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十二話 ヒガンバナが見せるもの
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またどこかで

「透花さーん!!」


 俺は、透花さんを見つけると駆け寄っていく。

 たまに言われるんだけど、自分でも犬みたいだと思うぜ!


「待たせてすんませんっす!」

「ううん。こちらが、颯くんの昔のお友達?」

「うっす! 小笠原渉っていいます!」

「こんにちは、小笠原くん」

「……こんにちは」


 渉は、軽く会釈をした。


「ここで会ったのも何かの縁だし、よかったらうちでご飯でも食べて行かない?」

「いいっすね! 俺も、聞きたいことがまだまだあるし!」

「……誘ってくれて、ありがとうございます。でも俺、この後用事があるので……」

「そうなんだ。残念だなぁ」

「そっか……。でも、用事なら仕方ないよな!」


 渉は、俺と透花さんを交互に見るとガバッと頭を下げた。

 突然の行動に、俺は驚いてしまう。


「どうした!?」

「……こいつのこと、よろしくお願いします。俺、昔からずっと一緒でしたけど、こいつのこんな明るい顔を見たの初めてです。だから……」


 渉の様子を見て、透花さんは何かを感じ取ったのだろう。

 柔らかな笑顔を浮かべると、渉の肩に手を置いた。


「任せて。颯くんは、もう私にとって家族も同然の存在だから」


 その言葉を聞いて、少しだけ渉の肩が揺れたように見えたのは俺の気のせいか……?


「……ありがとうございます。じゃあ、俺はこの辺で……」

「え!? もう帰っちゃうのかよ!?」

「……ああ、悪いな」

「また! またどこかで会えるよな!!」

「……俺はもう、お前に会わないことを祈るよ」


 その言葉の意味を確認しようとした時には、渉はもういなくなってた。

 結局、俺が施設育ちで、昔から女が苦手だったってこと以外はわかんなかったな……。

 でも、これすらわかんなかった頃に比べれば前進してるよな!


「颯くん、帰ろうか」

「うっす!」

「今日もたくさん買ったね」

「セールだったんで、ついつい買い過ぎちゃいました! あっ、荷物持ちます!」

「ありがとう。私はかわいい簪を見つけたから買ったんだよ」

「簪! いいっすね! 今度祭に行く時に使いましょう! セットさせてください!」

「ありがとう。よろしくお願いします」


 なんでもない会話を交わしながら、俺たちは別荘へと帰る。

 そして、いつもと同じように夕飯を食べ、眠りに就いたんだ――――――――――。

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