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予期せぬ再会
……それは、突然のことだった。
僕の暮らす家の扉が、誰かによってノックされたんだ。
この家に戻ってきて五年以上が経っていたけれど、今まで来訪者なんてなかった。
(潮時、か……)
過激派の人たちに、何かの拍子に居場所が割れたのかもしれない。
僕は、覚悟を決めてドアを開ける。
「どちらさ、ま……」
「理玖、久しぶり」
そこにいたのは、以前と変わらぬ笑顔を浮かべる彼女だった。
その後ろには、真面目そうな男が立っている。
……僕のことを警戒しているのは、一目瞭然だ。
「……どうしたの」
「今日は、話があってあなたに会いに来たの。入ってもいい?」
「……君一人なら構わないけど、後ろの彼は遠慮してもらえるかな。見ず知らずの人間を家にあげたくはないからね」
「わかった。柊平さん、ここで待っていてもらえる?」
「……かしこまりました」
彼女は、男をその場に残すと家の中に入ってきた。
扉を閉める瞬間、彼から鋭い視線を向けられたのは僕の勘違いではないだろう――――――――――。