一色隊の不愛想なお医者さん、春原理玖
一日目最後は、医学・薬学の試験だ。
筆記試験だけではなく、実際の傷病人に対して適切な処置を行えるかどうかも試される。
「……あいつの調合した薬、すげー効くわ。もう痛みが引いてきた。めちゃくちゃ沁みたけど……」
「俺も飲み薬貰ったけど、この世のものとは思えない苦さだったぜ……。頭痛は治まったけどさ」
「さすが☆ りっくんの薬ってほんとすごい効果だけど、刺激は強いよねー!」
「……効能を最重視してるから、仕方ないだろう」
「あ、そういえば前に貰ったハンドクリームもうすぐなくなりそうなんだ! また作ってもらってもいーい?」
「……君の望む通り、刺激強めに作ってあげるよ」
「いやいやいやいや、ハンドクリームに刺激はいらないから! 手に優しくて、いい香りのするやつでお願い♪」
「……ちっ」
「えええ!? なんで舌打ち!?」
医学・薬学の試験成績一位、春原理玖。
彼は既に医者として、屋敷の一角に診療所を構えているのだ。
この結果は当然のものだろう。
「あれだけ効く薬を作れるなんて、あの子ただ者じゃないね」
「うん。うちに来てくれたら、医務室が華やかになって一石二鳥だったのになぁ」
理玖は、医療専門部隊の隊員に目をかけられていた。
こうして、一日目の試験は無事に終了したのだった。