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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二十一話 カリンの花を君にあげる
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名前を呼ぶだけで

 食事を終えてから、僕は自室に籠り一人でノートと向き合っていた。

 ……ノートに絡みついていたデュールサルマンの蔓は、簡単に解けた。

 昔は、いくら引っ張ってもびくともしなかったのに……。

 この植物は火にも強いため、焼き切るということもできなかったんだ。

 ここ数年触れていなかったけど、僕には力がついたらしい。

 ……まあ、他の人に比べればまだまだ非力なんだろうけど。

 そんなことを考えながら、ページを捲っていく。

 そこには、先程彼女が話してくれたことや、父さんたちの研究の結果などが書かれていた。

 夢中で読み進めていた僕の目が、ある一点で止まる。

 そこには、彼女に関する記述があった。


(……そうだったんだ。だから彼女は……)


 普通ならば、こんなにすぐに納得できるような話ではないことはわかってる。

 ……まるで、おとぎ話の世界だ。

 だけど、これが事実ならば、僕が彼女に対して疑問に思っていたことが全て解決するんだ。

 ……僕は最後までノートを読み終えると、静かにそれを閉じた。

 信じがたい内容だったけど、僕の彼女を想う気持ちは何も変わらない。


(……透花、君が好きだ)


 なんとなく恥ずかしくて、最近はなかなか呼べない名前を心の中で呟く。

 ……それだけで、心がこんなにも温かくなるんだ。

 僕はとある覚悟を決めると、その日は眠りに就いたのだった――――――――――。

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