向日葵畑にて
僕たちは、向日葵畑に来ていた。
どこまでも続く黄色い花は、とても美しい。
このような景色は滅多に見られるものじゃないから、みんなのテンションも高い。
僕も、それは同じ気持ちだけど……。
……ここは、日差しが強すぎる。
僕は、少し離れた場所にある木陰で休むことにした。
座って、特にやることもないのでその辺の野草を摘んで花冠を作り始める。
「おねえちゃん、これあげる!」
「まあ、ありがとう。あなたが選んでくれたの?」
「うん! ぼくが、おねえちゃんのためにえらんだんだよ!」
「とても綺麗ね。大事にするわ」
ふと、僕の耳にこんな会話が聞こえてきた。
そちらを見ると、小学生くらいの少年が年上の女性に向日葵を手渡している。
ここの向日葵畑は、数本までなら摘んで持ち帰ることができるのだ。
……状況から察するに、姉弟ではないだろう。
少年にとって、女性は憧れの存在に見える。
大方、長期の休みにしか会えない親戚だろうか。
汗をかきながら花を渡す姿は、とても眩しいものだった。
(……僕が彼女に出会ったのって、あのくらいの年齢の時だったかな)
花冠を編みながら、自分の過去に思いを馳せた――――――――――。