おいしいはちみつが食べたい!
オレの名前はぱかお!
もふもふの毛並みが自慢の、オスのアルジャンアルパガだ!
オレは今、トウカのべっそうでシンと一緒にテレビを見てるぞ!
イッシキタイは夏休みだから、毎日みんなと遊べて楽しいんだ!
「高いハチミツって、やっぱりおいしいのかなぁ……」
シンが、涎をすすりながらそう言う。
テレビでは、太った男がキラキラに光るはちみつを食べていた。
なんだあれ、すっごくうまそう……!
オレははちみつが大好きなんだ!
(あれは、普通のはちみつとは違うのか!?)
「すごく高いんだって……」
(どれくらいだ!?)
「いつも食べてるやつが、五十個買えるくらいかな……」
(すごい! 食べてみたいぞ!)
「それは僕もだけど、こんなに高いやつ買えないよ……」
(しかも、ちっちゃい瓶だな……)
「……うん。すぐに食べ終わっちゃう……」
(……でも、食べたいよな)
「食べたいね……」
何か方法がないか考えていると、部屋にトウカがやって来た。
困っているオレたちに、優しく声をかけてくれる。
「二人とも、どうしたの?」
「おいしいハチミツが食べたい……」
(略しすぎだ! それじゃ、この高いはちみつが食べたいことがトウカに伝わらないぞ!)
「おいしい蜂蜜?」
シンの言葉が足りないことをよくわかっているトウカは、テレビへ目を向けた。
そして、全てを理解したかのような顔になる。
「この蜂蜜が食べてみたいの?」
「……うん」
(そうだ! オレも食べたいんだぞ!)
「私が買ってプレゼントしてもいいけれど、心くんはそれじゃあ嫌なんだよね?」
「……うん」
シンは、トウカに色々世話になってるらしい。
だから、何かを貰うのは極力避けたいみたいだ。
はちみつは食べたいけど、オレはそんなシンの気持ちを尊重するぞ!
「近くに養蜂場があったはずだから、行ってみようか?」
「養蜂場……?」
(よーほーじょー?)
「うん。あんなに高級なものではないけれど、新鮮な蜂蜜が食べられると思うよ。確か、採密体験もできたはずだし。自分で採った蜂蜜は、きっとすごくおいしいんじゃないかな」
「行きたい」
(オレも! オレも行きたい!)
「じゃあ、早速明日にでも行こうか。みんなにも声をかけてみるね」
「……うん。透花さん、ありがとう……」
(トウカ、ありがとな!)
「どういたしまして」
手を振ると、トウカは部屋を出て行った。
(シン! 明日楽しみだな!)
「うん、すっごく楽しみ……」
こうしてオレたちは、おいしいはちみつを求めてようほうじょうへ行くことになったんだ!