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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十九話 ミソハギと共に走る
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焦燥感に駆られて

 それは、徐々に蒸し暑くなってきた頃のことだった。

 大和は一人で折紙をしてたから、俺は庭でタバコを吸ってたんだ。


(そろそろタバコやめっかな……。体によくねーし……)


 そんなことを考えていると、何やら周囲が騒がしい。

 とある家の前に、野次馬やらマスコミやらが集まっている。


「あの! なんかあったんすか?」


 俺は、その方角に向かっている男に声をかけた。


「子どもが行方不明になったんだってよ!」

「子どもが……!?」

「ああ。また例の連続誘拐犯の仕業じゃないかって噂だぜ。この辺も物騒になったもんだ。数か月前は、近くで殺しもあったしよぉ……」


 男に礼を言うことすら忘れて、俺は室内に駆け込む。

 乱暴にタバコを灰皿に押し付けると、大和に声をかけた。


「大和、わりい。兄ちゃん、ちょっと用事ができたから出掛けなきゃならねーんだ。すぐに戻ってくっから、家で待ってろ。誰が来ても、絶対にドアは開けるなよ。わかったか?」


 大和が頷いたのを確認すると、俺は急いで靴を履いて家を出た。

 ……誘拐犯がまだ近くにいるなんて、もちろん思ってねえよ。

 でも、居ても立っても居られなかったんだ。

 俺は、人だかりの方へと急ぐ。

 ……焦り過ぎてまさかあんなことになるとは、この時の俺は考えもつかなかったぜ。

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