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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十八話 セロシアに火を灯そう
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その温かさがうらやましい

 柊平さんと蒼一朗さんによって無事に救助された透花さんは、僕の自宅に運ばれました。

 意識は失っているものの命に別条はなかったので、医師である理玖さんが病院に運ぶ必要はないと判断したからです。

 ……僕が自宅を提供したのは、せめてもの罪滅ぼしのつもりでした。

 幸い、両親はまだ戻ってきていなかったので……。

 透花さんは、一時間ほどで目を覚ましました。


「あれ、ここって……」

「……君が、さっき助けた人の家だよ」

「……そっか。私、あのまま海に落ちたんだ」

「……隊長、ご無事で何よりです」

「ったく、泳げないならあんな無茶するなよな! 心臓止まるかと思ったぜ……」

「二人が助けてくれたんだよね。ありがとう。理玖も、処置とかありがとうね」


 彼女たちを、とても温かな空気が包みます。

 何かあったら、自分の大切な人たちに心配してもらえる……。

 そんな当たり前のことが、とてもうらやましくて……。

 僕は、自分の涙腺が緩んでいくのを感じました。

 だって僕は、もうそれを失ってしまったんですから……。


「……あなたは? 怪我はなかった?」

「え……? あ、はい……」

「それならよかった」


 そう言うと、透花さんはふわりと笑いました。

 どうして、こんなに穏やかな笑顔を浮かべていられるんでしょう?

 だって、僕のせいで海に落ちたのに……。

 罵られても、当たり前のことをしたのに……!

 ……透花さんだけじゃ、ありません。

 柊平さんも蒼一朗さんも理玖さんも、一言も僕を責めるようなことは言いませんでした。

 どうして、なんで……?

 僕の思考は、あっという間に混乱の渦に巻き込まれていきました――――――――――。

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