未来の仲間たち
……僕は、自分の目の前で起こった出来事が信じられませんでした。
どうして、見ず知らずの僕なんかを庇うような真似をしたんでしょう……?
そのせいで、彼女は……。
僕の体は、情けないことにガタガタと震え始めます。
……自分の死には全く恐怖を感じませんでした。
ですが、自分のせいで他人が死ぬことはとても恐ろしいと思ったからです。
「……今すぐ、彼女のことを探してきて!」
彼女と一緒に来ていた男性三人の内、一人が口を開きます。
金髪が美しい、細身の男性でした。
それは、他の二人へと放った言葉のようです。
「……こんなことを言うのは失礼かもしれないが、大丈夫ではないのか?」
「ああ、そうだな。あいつ、人間離れしてるから……」
涼やかな目元の人、そして鍛えられた体を持つ人がそれぞれ答えます。
「……彼女だって人間だよ。弱点くらいある。確かに、このくらいの高さから落ちるくらいなら平気だろうね。でも、下は海だ。……彼女は、泳げない」
「なっ……!?」
「それを早く言えよ!!」
それを聞いた二人は、慌てて駆け出します。
金髪の人も、二人の後を追います。
「……待ってください!」
気付くと、僕はそう叫んでしました。
先に走り出した二人は、既に見えません。
金髪の人が、うっとうしそうに僕の方を振り返りました。
「……なに」
「あ、あの……! 僕も一緒に行ってもいいですか……!?」
僕じゃ、なんの役にも立てないのはわかってます。
それでも、このままここで震えているだけなんて、できないんです……!
「……勝手にしたら」
金髪の人は、そう言うと先に行ってしまいます。
僕は、ガクガクと震える足をなんとか動かし彼の後ろをついていきます。
これが、後に仲間になる柊平さんと蒼一朗さん、そして理玖さんとの出逢いでした――――――――――。