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僕の女神様との出逢い
(女神様、でしょうか……)
透花さんを見た瞬間、そう思いました。
僕は自分でも気付かない間に、天国に来ていたのでしょうか……。
そう感じるほどに、透花さんは神秘的で美しかったんです。
……ですが、僕が彼女の問い掛けに答えることはありませんでした。
声をかけられたことに驚き、崖から足を踏み外してしまったからです。
ギリギリの場所に立っていたので、僕の体を浮遊感が襲います。
(ああ、僕、死ぬんですね……)
死を覚悟して目を閉じた瞬間、僕の手が温かなものに包まれます。
「危ない……!」
……それは、透花さんの手でした。
その華奢な体の、どこにこれほどの力が眠っているのでしょう。
彼女に手を引かれたおかげで、僕は崖から落ちませんでした。
……しかし、その分の反動が彼女にはかかります。
彼女の体は崖から投げ出され、そのまま海へと落ちていったのです――――――――――。