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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十八話 セロシアに火を灯そう
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一人にしないで

 二人の葬儀には、とてもたくさんの人が訪れました。

 おじいちゃんとおばあちゃんが、多くの人に慕われていたのがわかります。

 僕は、泣きませんでした。

 父と母に、どうしても涙を見せたくないと思ったからです。

 葬儀が終わると、着替えることもせずにとある場所に向かいました。


(さすがに、高いですね……)


 ……そこは、観光名所にもなっている崖です。

 一人になると、自然と涙が僕の頬を濡らします。


(おじいちゃん、おばあちゃん、僕も連れて行ってください……!)


 ……僕は、自らの命を絶つためにここまで来ました。

 僕はこのまま、親が選んだ相手と結婚させられるのでしょう。

 今後も、操り人形のように生きていくしかないんですよね。

 だって、何かを変える力も、覚悟もないんですから……。

 ……それに、僕の料理を食べて笑ってくれる人たちは、もうどこにもいません。

 もう、生きている意味なんてありません。

 生きていなくなんて、ありません……!

 そう思った僕は、あと一歩進めば身を投げ出せる位置まで進みます。

 ……遺書は、残しません。

 どのような形であれ、僕の言葉が両親に届くことはないですから。


「どうかなされたんですか?」


 そんな僕に、柔らかな声をかける人物がいました。

 これが、僕と透花さんの出逢いです――――――――――。

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