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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十七話 水中のジニア
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好敵手

 颯が戻ってくると、透花たちはビーチバレーをすることにした。

 指の怪我を恐れる虹太と、体を動かすことに興味がない理玖は見学である。

 子どもたちがいるので、本気の試合ではなく軽いお遊びだ。

 この条件なら、湊人は参加してもいいらしい。

 晴久も、体調と相談しながら挑戦してみることにした。

 見学の二人を除き、できるだけ戦力が均等になるように二組に分ける。

 一つ目は、透花、心、湊人、美海、ぱかおの四人と一匹からなるチームだ。

 そしてもう一つが、柊平、蒼一朗、晴久、颯、大和の五人である。


「ゲームスタート!」


 審判として参加することにした虹太の掛け声を合図に、颯がサーブを打つ。

 透花はそれを拾うと、チーム内にボールを繋いでいく。

 最終的には、心がふわりとしたボールで相手の虚をつきそれが先取点となった。

 次は、透花のサーブである。

 彼女の打ったボールは、柊平と蒼一朗の間に落ちていく。

 二人とも反応したため、結果的にお見合いの形となりボールは砂の上に落ちてしまった。


「……今のは俺のボールだろ」

「……いや、位置的には私だったはずだ」


 二人の間に、穏やかではない空気が漂い始める。

 この二人、普段は理玖と湊人の陰に隠れてわからないがあまり仲が良くないのだ。

 年齢が同じということもあり、お互いのことをどこかライバル視している節がある。

 それが今回は、どうやら裏目に出てしまったらしい。


「二人とも、大和くんや美海ちゃんが驚いてしまいますよ」

「……そうだな」

「……わりぃ」


 晴久の言葉に、二人はそれぞれのポジションまで戻った。

 そして、湊人のサーブで試合が再開する。

 颯が拾うと、ボールは高く上がった。

 これにも、二人とも反応して飛んでしまったのだ。

 結果的に再びお見合いになってしまい、ボールは二人の間にぽとりと落ちる。


「……今のは絶対に俺のボールだったろ」

「……どこを見ているんだ。私のボールだった」

「………………………………!!」

「大和くん、大丈夫ですからね」

「二人とも、喧嘩しないでくださいっす!」


「しゅうにいとそうにい、子どもみたーい!」

「人の喧嘩って他人からするとこんな風に見えるんだね。僕も気を付けなきゃ」

「人の振り見て我が振り直せって言葉がぴったりだね」

(シン! この服暑すぎるぞ! 脱ぎたい!)

「ダメ……。そしたらここで遊べなくなっちゃうよ……」


 その後も、柊平と蒼一朗の歯車が噛み合うことはなかった。

 ビーチバレーは、透花のチームの圧勝で終わったのだった。

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