表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十七話 水中のジニア
181/780

人の目を奪う眩しさ

 透花が皆と合流できたのは、十分ほど後のことだった。

 普通に歩けば、一分とかからない距離である。

 しかし、今の彼女は水着姿なのだ。

 滅多に露わにしない肌を惜しげもなく露出している。

 その姿が、砂浜の男たちの目に止まらないはずがない。

 彼女に声をかける者は、後を絶たなかった。

 一組断れば、すぐに別の男に声をかけられてしまう。

 それを見かねた蒼一朗が迎えに来てくれるまで、そのやり取りは十分間続いたのだ。


「蒼一朗さん、ありがとう」

「いや、礼を言われるようなことじゃないだろ。あんたのせいじゃねーし」

「まさか、あんなに声をかけられるなんて思わなかったよ。みんな、暇なんだね」

(暇っつーか、なんつーか……)


 蒼一朗は、透花の水着姿に目をやる。

 白の水着が、彼女の白皙さを際立たせていた。

 いつも彼女と接している蒼一朗でさえ、何か思うところがあるようだ。


「……隊長、失礼いたします。こちらを羽織られていた方がよろしいかと」


 そこに、先程透花が脱いだパーカーを持った柊平がやって来た。

 駐車スペースが空くのを待っていたため、皆との合流が遅れていたのだ。


「……もちろん日焼け止めを塗られているとは思いますが、日差しも強いことですし」

「そうだな。あんた、泳いだり潜ったりしないだろ。水遊びをするだけなら着とけよ。それ、濡れても平気な素材だよな」

「……はーい、わかりました。二人とも、ありがとう」


 正直なところ、暑いのでパーカーを着たくはなった。

 だが、彼女は隊員たちの厚意を無駄にするようなことはしないのだ。

 パーカーを羽織ろうとしたところで、声がかかる。


「透花さん、パーカー着ちゃうの? せっかく水着似合ってるのに~。ねっ、心ちゃん!」

「……うん」


 浅瀬で遊んでいた、虹太と心だった。

 近くには、美海、大和、ぱかおもいる。

 だが、颯の姿が見当たらない。


「ありがとう、虹太くん、心くん。颯くんはどこに行ったの?」

「颯くんなら一人で遠泳に行ったよ~」

「……ここは、女の人が多いからって」

「あ、なるほど。納得しました」


 波打ち際では、若い女性がたくさん遊んでいるのだ。

 それに耐え切れなくなった颯は、遠泳をして物理的に距離をとることにしたらしい。


「颯くんが戻ってきたら、スイカ割りとかビーチバレーとかしたいね」

「スイカ……」

「スイカ割りはいいけど、バレーはパス~。指痛めるのやだ!」

「……お前は、絶対にケガするからやめといた方がいいな。春原の仕事が増える」

「砂浜での遊びなら、彼らも参加できますね」


 柊平は、パラソルの下に視線を向けた。

 三人は、協力して砂で何かを作っているようだ。

 おおかた、晴久が二人を誘ったのだろう。

 その姿を見ながら、透花は小さく微笑む。


「うん、そうだね」

「とうかねえ、一緒にあそぼー!」

「………………………………!!」

(トウカ、オレもだ! 遊んでくれ!)

「ふふふ、三人ともそんなに慌てなくても大丈夫だよ。今日からしばらくは、いつもと違ってたくさん遊べるんだから」


 美海と大和、そしてぱかおに促され透花は水に入る。

 燦々と降り注ぐ日差しが、彼女たちを照らしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ