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これからも、続いていく。
「一色殿ー! 遊びにきたぞ!」
無事に王宮へと琉生が帰った日、彼が父とどのような話をしたのかを知る者はいない。
だが、この行動が全てを物語っているのだろう。
琉生は、一色隊の屋敷にたまにやって来るようになった。
王子としての教育の合間に、遊ぶ時間を設けられるようになったらしい。
「琉生様、また一人でいらっしゃったのですか?」
「うむ! 友達の家に、じゅうしゃをつけていくようなやつはいないからな!」
琉生は、一色隊の面々のことを友人だと思っているのだ。
透花は、そんな彼に柔らかい表情を向ける。
「次からは、ぜひご連絡ください。迎えに参ります。“友達同士”なら、迎えに行くのはよくあることなのですよ」
「そうなのか! それは知らなかったな! 次からはそうしよう!」
この奇妙な友人関係は、これからも続いていくのだろう。
そんな近い未来を、そして琉生が治めるこの国の平和な遠い未来のことを思い、透花は静かに笑みを零すのだった――――――――――。




