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破られた静寂
それは、一般道から高速道路へと入って少しした時のことである。
二人の間に漂っていた心地よい静寂が、突如破られたのだ。
「隊長、今我々を追い抜いていった車ですが……」
「……うん、ちょっと様子がおかしいよね」
二人が乗る車を、一台の車が抜き去っていったのだ。
違反というほどのスピードは出ていない。
しかしいくら道路が空いているとはいえ、蛇行運転を繰り返すその車はどう見ても危険なものだった。
「……追いかけますか?」
「……そうだね。今日は柊平さんに仕事をしないでゆっくり休んでもらう予定だったのだけれど、あれを見て放ってはおけないよ。行こう」
透花は、サイレンを取り出すと窓から手を伸ばしそれを車の屋根の部分につけ、スイッチを入れた。
「かしこまりました。……しっかり掴まっていてください」
「了解!」
透花の返事を聞くのと同時に、柊平はアクセルを踏み込んだ――――――――――。