僕らの癒し系
二人が訪れたのは、晴久の部屋だった。
颯は、これまでのいきさつを説明する。
「……というわけで、晴久さんの服を見せてほしいっす!」
「はい、それは構いませんよ。でも、どうして僕なんでしょうか?」
「この屋敷で癒し系といえば、晴久さんに決まってるっすよ!」
「……ありがとうございます。なんだか恥ずかしいですね」
晴久は柔らかな笑顔で、二人を部屋に招き入れる。
ちなみに夏生には、事情によりシェアハウスをしていることは説明済みだ。
「僕の服は、このような感じですよ」
「おぉ……! 爽やかかつ適度にかわいい……!」
「そうだろ!? 有川の目指す方向性としては、こんな感じだと思うんだよ!」
「うん! 僕もいいと思う!」
「じゃあ、今度のチェキ会のテーマは”爽やかなマリンボーイ”だな!」
晴久は、マリン系の服を好んでよく着ている。
なのでそこには、夏生のイメージカラーである青を用いた服もあった。
濃すぎず、かといって薄すぎない爽やかな色合いだ。
夏生の容姿や性格にも合うだろう。
「ありがとうございます! なんとなくイメージが湧きました!」
「僕の服が役に立てたようでよかったです。そういえば二人とも、喉は乾いていませんか?」
「乾いたっす!」
「……僕も、少しだけ」
「中途半端に残ってしまった炭酸水とレモンがあるので、レモンスカッシュを作ろうと思っていたんです。よかったら飲んでいってください」
「うっす!」
「あ、ありがとうございます!」
こうして二人は晴久特製のレモンスカッシュにありつくために、リビングへと移動することになったのだった。