オシャレ修業
「緒方くん、どうかな!?」
「似合ってるぜ! でもその色に合わせるなら、ボトムスはこっちがいいな!」
「……ほんとありがとう! そういうアドバイス、とっても助かるよ!!」
二人は現在、颯の部屋にいる。
わざわざ買わなくても、颯が持っているもので気に入るものがあれば貸してもいいということで、夏生は色々な服を試着しているのだ。
「うーん、それにしてもなんかなぁ……」
「……やっぱりダサく見えるのかな!? 緒方くんのオシャレな服を着てるのに……」
「いやいや、違うって! 似合ってるんだけど、なーんかしっくりこねーんだよな……」
「それって、つまりどういう……?」
「俺の服だと狙いすぎに見えるっていうか……。そうだ! あれだ! あざとい!!」
「あざとい!? ショックだけど、なんとなくわかるかも……」
颯はいつも、動物やキャラクターが描かれた服を好んで着ている。
華やかな顔立ちの夏生がそれを着ると、かわいくなり過ぎてしまうようなのだ。
「有川って、イメージカラーとかないのか? アイドルってそういうのよくあるだろ!」
「……あんまり合ってないと思うけど、一応あるよ。青なんだ」
「青っていっても色々あるからな! 別に合ってないことはないと思うぜ! グループ内の立ち位置的なのは? まとめ役とか、クール系とか……」
「……自分で言うのもあれだけど、癒し系担当です」
「なるほどな! よし! わかった! 行こうぜ!」
そう言うと、颯は立ち上がった。
「行くって、どこに?」
「俺は、青系とか癒し系の服は持ってねーからさ! そういう服を持ってる人に見せてもらいに行くんだよ!」
「え、えええ……!?」
「雑誌とかでもいいんだけど、実際に見た方がイメージ湧きやすいだろ?」
「それはそうだけど……」
「少しでも自分のイメージする服装があった方が、買い物もしやすいからな!」
「でも、今回は緒方くんがコーディネートしてくれるんだからそんなのなくても……」
「コーディネートはもちろんするぜ! でも、俺が選んだ服が有川の着たい服と一致するとは限らないからさ! 自分の中に引き出しを増やしておくのも悪くねーだろ?」
「……そうだね! チェキ会の度に緒買い物に付き合ってもらうわけにもいかないし!」
「その意気だ!」
こうして二人は部屋を飛び出すと、とある場所に向かったのだった。