世界で一番安心できる場所!
⑨午後十一時、自室にて
……う~ん、よく寝たなぁ。
オレが目を開けると、隣に寝転がっているシンと目が合った。
その隣では、ミウが寝ている。
どうやらトウカは、約束通りオレをベッドまで運んでくれたみたいだ。
「……おはよ、ぱかお」
(おはよう! シン! 今何時だ?)
「……夜の十一時だよ。随分よく寝てたね」
(十一時!? オレ、五時間以上も寝てたのか!?)
「……うん。僕もこれから寝るところ……」
そう言ったシンの瞼は、今にも閉じてしまいそうだった。
(待ってくれ! オレ、ミナトとの将棋の次の手を思い付いたんだ!)
「明日の朝、聞くから、今日はもう寝かせて……」
(……わかった! 寝てたオレが悪かったからな! でも、明日は話聞いてくれよ!)
「……うん。約束する……」
次の瞬間には、もう寝息が聞こえてきた。
……トウカや他のヤツらのことも大好きだけど、オレにとってシンは特別だ。
シンがいなかったら、オレは生きてはいなかったかもしれない。
生きていたとしても、こんなに楽しい毎日を過ごせることはきっとなかった……。
だからこいつには、大好きでも言い表せない感情を持ってる。
……まあ、うまくは言えないんだけどな!
シンの寝顔を見てたら、あれだけ寝たのにまだ眠れそうな気がしてきたぞ……。
こいつの隣は、世界中で一番安心できる場所だからな!
オレは丸まりながら、夕飯を食いっぱぐれたことに気付く。
この時間なら、まだハルヒサは起きてるかもしれない。
だけど今はなんとなく、シンと一緒にいたかった。
今日食べれなかった分は、明日たくさん食べるからいいんだ!
今日はすっごい充実した一日だったな!
明日はどんなことが起きるのか、楽しみだぞ!
そんなことを考えながら、オレは目を閉じた――――――――――。