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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十二話 ローマンカモミールの戯れ
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すきすきだいすき!

⑧午後五時半、軍本部前にて


「お迎えありがとう。ごめんね。待ったでしょう? 会議が長引いてしまって……」

「いえ。そのようなことはございませんので、お気になさらないでください」

(シュウヘイは嘘吐きだなー! オレたち、一時間以上も待ったのに……)


 トウカは仕事が長引いているらしく、全然くるまに来なかった。

 シュウヘイとの一時間は、他のヤツよりも長く感じるんだぞ……。

 こいつは、あんまりしゃべらないからな……。


「あれ? 今日はぱかおもいるんだ! じゃあ、後ろに乗って帰ろうかなぁ」


 オレに気付いたトウカは、一度乗ったじょしゅせきから降りて隣に来てくれた!

 わーい!!

 これって、膝に乗ってもいいってことだよな!?

 オレは、ワクワクを抑えきれずにトウカを見つめる。


「ん? ああ、膝に乗りたいのかな? いいよ、おいで」

(やったー! じゃあ、お邪魔するぞ!!)


 許可が下りたオレは、ぴょんと膝に飛び乗った。

 そんなオレの毛並みを、トウカは優しく撫でてくれるんだ!

 はぁ、トウカは相変わらず柔らかくていいニオイがするぞ!

 だからオレは、トウカがだーいすきなんだ!!

 忙しくてなかなか遊んでもらえないけど、ほんとはもっともっと甘えたいんだからな!


「毛が短くなっているね。颯くんに切ってもらったの?」

(おう! そうだぞ! かっこいいだろ!?)

「涼しそうだし、とってもかっこいいよ」

(トウカにそう言ってもらえると嬉しいー!!)


 オレはトウカに頬ずりをした。

 しばらく撫でられていると、なんだか眠くなってきちゃった……。

 このくるまの揺れも、気持ちいいんだよな……。

 オレのまぶたは、自分の意志とは関係なしに閉じようとする。


「ぱかお、眠いの? きっと今日も、たくさん遊んで疲れたんだね」

(うん……)

「無理しないで寝ていいよ。ちゃんとベッドまで運ぶから」

(わかった……。夕飯の時間には、起こしてくれ、よな……)


 トウカの優しい声を聞きながら、オレはいつの間にか夢の世界へと旅立っていた――――――――――。

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