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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第二話 希望を抱えたトルコキキョウ
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始まりの前日

「明日のお昼は、心くんと颯くんは高校の、大和くんと美海ちゃんは小学校の入学式だよね」


 隊の生活の拠点となっている屋敷のリビングには、一色隊の隊員たちが集まっていた。

 翌日の予定についての確認があるため、透花によって招集されたのだ。

 だが、晴久の姿は見えない。

 先日のお花見任務により、体調を崩してしまい横になっているからだ。


「蒼一朗さんは、大和くんの入学式に出るでしょう?」

「おう」

「僕も……」

「心くん、それについては前も話したよ。美海ちゃんの入学式に出たい気持ちはわかるけれど、自分の方を疎かにしてはダメだよって」

「ビデオ撮ってきてやるから、お前はちゃんと自分の入学式に出ろよ」

「……わかった」


 大和とは蒼一朗の弟の名前だ。

 既に両親は他界しているので、兄弟二人で一色邸に住んでいる。

 そして美海とは心の妹だ。

 この二人には母親がいるが、訳あって離れて暮らしているのだ。


「私は心くんと颯くんの方に行く予定なのだけれど、ここでみんなにお願いがあるの。生徒が二人なのに保護者が一人だけなのもアレかなーと思うので、小学校、高校ともに入学式に出席してくれる人を一人ずつ募集します。……心くん、そんなにキラキラした目で見つめられても君はダメだからね」


 透花の話を聞くと、理玖は椅子から立ち上がった。


「……話がそれだけなら、僕はもう部屋に戻るよ。人の多い場所にわざわざ赴きたくない」


 それだけ言うと、リビングを出て行ってしまう。

 そんな理玖を、透花は特に止めはしなかった。


「まぁ、理玖はああ言うだろうと思っていたから仕方ないかな。体調的にハルくんも無理だから、柊平さん、虹太くん、湊人くんの中から二人にお願いしたいのだけれど……」

「では、私が行きます」

「昼は用事があるから、俺はパス~」

「……ということは、必然的に僕が行くことになるね」


 こうして、用事がある虹太を除いた二人が参加することになった。


「二人とも、ありがとう! よろしくね。じゃあ、お昼の話はこれでおしまい。夜の話に移るね」


 明日は学校の入学式だけではなく、軍の入隊式も催される。

 様々な事情を考慮した結果、例年入隊式は夕方から開始されるのだ。

 一色隊は結成から一年が経過していないため、全員がこの式に出席する必要がある。


「とにかく軍服を着て、時間通りに来てくれればいいから。私はスピーチがあるからみんなと一緒にはいられないので、統率は柊平さんにお任せするね」

「かしこまりました」

「もう私たちは一つの隊として活動しているけれど、正式には明日が出発の日です。みんな、気合入れていこうね!」


 様々な思いを抱えながら、一色邸の夜は更けていく――――――――――。

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