キレイな音だ!
オレの名前はぱかお!
ワケあってこの屋敷で暮らしている、オスのアルジャンアルパガだ!
今日は、オレの一日を紹介するぞ!
①午前九時、サロンにて
まずは、みんなが”さろん”って呼んでる部屋に向かうぞ!
ここからは、いつもキレイな音が聴こえてくるんだ!
“ぴあの”っていう楽器の音らしいけど、詳しいことは知らない!
でもオレはこの音が大好きだから、よく聴きにくるんだ!
中でぴあのを弾いてるのは、大体コウタだ!
部屋の外でも聴こえるけど、どうせなら近くで聴きたいからな!
でも、ドアはしっかりと閉まってる。
中から開けてもらわないといけないんだけど、集中してるコウタに気付いてもらうのはしなんのわざなんだ!
俺はさろんの扉に、勢いよくタックルをかます。
何回かやってる内に、コウタが気付いて扉を開けてくれるんだ!
「ぱかお、いらっしゃ~い。今日も元気だね」
今日は一回やっただけで気付いてくれたから、早いな!
五回やっても気付いてもらえなかった時は、頭が割れるかと思ったんだぞ!
コウタが開けてくれたドアから、俺はさろんに入る。
そして、ぴあのから少し離れた場所に座った。
「今日はこれから出かけるからね~。あと一曲でおしまいにしようと思ってたんだ」
(そうなのか! じゃあオレは運がよかったな!)
「ぱかお、運がよかったね~。何かリクエストはある?」
(そうだな……。じゃあ、楽しくなれるような曲を頼む!)
「……って、俺は心ちゃんじゃないから聞いてもわかんないんだけどね~。そうだなぁ……。さっきの元気なぱかおを見て楽しい曲を弾きたくなったから、それ弾こーっと☆」
……ここに住んでる奴らは、不思議だ。
オレの声はシンにしか届いてないはずなのに、時々こんな風に意志疎通ができるんだ。
こういう奴らばっかりだから、オレは人間が怖くなくなったんだろうな……。
さーて、コウタのピアノが終わったら、次はどこに行こうかな!