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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十一話 ベナムールに愛を誓う
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たまにデレるからこそツンデレなのです。

「春原せんせーい!!」


 透花と話を終えた大吾は、どたどたと走りながら理玖のもとへとやって来た。


「……何」

「花のことも、今日のことも、庭師のことも、本当に色々ありがとうだべ!!」


 そして、勢いよく頭を下げる。


「……別に」

「先生はなんで、こんなにおらによくしてくれるんだ……?」


 そう言われ、理玖は大吾の手を見る。

 渡した薬をきちんと塗っているようで、少しはよくなったようだ。

 だがその手は、未だに荒れている。


(……こういう手をしている人には、幸せになってもらいたいだけだ)


 しかし理玖は、ここで素直に自分の想いを伝えられるような男ではない。


「……君が、街で老人を助けるのを見たんだ。見返りを求めずに人のために働く君を、愚かだと思った。……でも、たまには僕も、そんな風に愚かになるのもいいんじゃないかと思ってね。それだけだよ」

「せ、せんせえ~。お、おら、嬉しいべ……」


 理玖の捻くれた言葉に、なぜか大吾はいたく感激した様子だ。

 遂には、大きな声で、ぼろぼろと涙を零しながら泣き出してしまった。

 だから大吾は、気付かなかったのだ。


「……ほら、顔拭いて。これからケーキ入刀があるんだから。今日の主役がそんな顔をしていたら、みっともないだろう」


 そう言ってハンカチを渡した理玖の耳が、微かに赤くなっていたことに――――――――――。

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