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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第一話 桜舞う日に
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花びらの間に溶ける言葉

「透花さん、何からいく? 食べ物も飲み物も、選り取り見取りだよー」

「虹太くん、ありがとう。じゃあまずはお酒を貰おうかな。夜桜を見ながらお酒を飲むなんて風流なこと、なかなかできないし」

「……透花さん、これおいしいよ。あげる」

「心くん、ありがとう。……んー、本当においしいね! さすがお肉屋さんのコロッケ!」

「……これうまっ。食うか? 食うならよそるけど」

「蒼一朗さん、ありがとう。……この肉巻きおにぎり絶品! 王様が出してくれた料理も全部おいしかったのだけれど、オシャレすぎて、イマイチお腹にたまらないものが多かったんだよね。こういうの今日ずっと食べたかった!」

「隊長、今日一日本当にお疲れ様でした。春とはいえ夜はまだ冷えます。どうぞ、こちらをお使いください」

「柊平さん、ありがとう。このストール、とても温かいね」

「……君、今日は結構飲んだんじゃないか。一応、薬を渡しておくよ」

「理玖、ありがとう。気分が悪くなりそうだったら、すぐに飲むね」

「透花さん。これ、よろしかったらどうぞ。僕が作ってきたものなんですけど……」

「ハルくん、ありがとう。わぁー、かわいい! 桜色のクッキーだ! とってもおいしいよ!」

「透花さん、はい、おしぼりどうぞ。皿もそろそろ取り替える? 新しいものがあるよ」

「湊人くん、ありがとう。相変わらず、細かいところまで気がつくね」






 透花は、みんなの会話の輪に入らず、ただ笑顔でその光景を見ている颯に気付き声をかけた。


「颯くん、どうしたの?」

「こういうの、すげぇ楽しいなって思ってたんっす!」


 颯はそう言うと、キラキラと輝く笑顔を透花に向ける。

 透花は、改めて思った。


(国民の方々の善意でいただいたもので、大切な仲間たちと一緒に楽しむことができる。それってものすごく……)


「あたたかい、なぁ……」


 透花の呟きは誰の耳にも届くことはなく、桜の花びらの合間に溶けていった。






 若く美しい不思議な少女が治めるこの隊は、これからどうなっていくのか。

 それを知る者は、きっと、この世にはいないのだろう――――――――――。

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