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透く花の色は  作者: 白鈴 すい
第十一話 ベナムールに愛を誓う
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祝福の色

 二人は目的の部屋に辿り着くと、扉をノックした。


「はーい」

「……僕だけど」

「入ってもいいかな?」

「あ、理玖に湊人くん。準備も終わったから、大丈夫だよ」


 二人が部屋に入ると、中には透花と、白いドレスに身を包んだ日菜子がいた。


「ヘアセットやお化粧は、颯くんに仕込んでもらった私がやりました! どうかな?」

「……悪くないんじゃないの」

「そういう言い方をすると女性にもてないですよ。佐々木さん、とてもお綺麗ですね」

「二階堂様、ありがとうございます。御三方には、本当にお世話になりました」


 日菜子はそう言うと、深々と頭を下げる。


「日菜子さん、頭を上げて。私たちは、それぞれが自分の意思でやりたいようにやっただけだから。日菜子さんがお礼を言うことなんて、何もないんだよ」

「ですが……」

「むしろ、申し訳ないと思っているの。せっかくの晴れの日なのに、ドレスが正式なものではなくてごめんね。さすがに私も、本物は持っていなくて……」


 透花の発言に、慌てた日菜子は頭を上げた。


「そ、そんな、一色様! 私、このドレスで充分嬉しいです! ドレスを着せていただいて皆様にお披露目できる日がくるなんて、まだ夢みたいだと思っています……」

「そう言ってもらえるなら、私も嬉しいな。でも、夢じゃないよ」

「……そうですよね」

「うん。それに、本当に夢みたいな時間はこれからだからね」

「……はい!」


 透花の微笑みに釣られ、日菜子も笑顔になる。


「……こっちは大丈夫みたいだね」

「そうですね。理玖さんはこれから、もう一人の主役の方に行くんですか?」

「……ああ」

「僕としては、あちらの方が心配ですよ」

「……珍しく意見が合ったね。僕もだ」

「うわっ、僕たちの意見が合うなんて、この後雨でも降ったりして……」

「……縁起でもないこと言わないでくれる」

「はいはい、すみません。じゃあ僕は、先に外に出てますんで」


 二人は憎まれ口を叩きながら部屋を後にすると、別々の方向へと歩き始めた。

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