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心慌意乱
屋敷のエントランスには、颯がいた。
「あっ、この間の……」
「こんちゃっす! 佐々木大吾さんっすよね! お待ちしてました!」
颯はにこやかに挨拶をする。
「じゃあ、理玖さん……」
「……うん、よろしく」
「おっす! 任せてください! じゃあ佐々木さん、こっちへどうぞ!」
颯はそのまま、大吾をどこかに案内しようとする。
「え、えーっと、おら春原先生に花を貰いに来たんだが……」
「……いいから、彼に着いて行って。そうしないと、花はあげないよ」
「そんな……!」
いきなりの花をあげない宣言に、大吾は戸惑っているようだ。
「……悪いようにはしないから。さっさと連れて行って」
「了解っす! さあさあ、こっちですよ!」
困惑する大吾の背中を、颯が押す。
こうして、半ば無理矢理、大吾はある部屋に連行されることになったのだった。