褒美
日も沈み、宴も終わりを迎えることとなった。
「一色殿を筆頭に、本日の一色隊の働きは素晴らしいものであった! 褒美をつかわすぞ! 欲しいものがあれば、なんなりと言ってくだされ!」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。では、このような願い、聞いていただくことは可能でしょうか?」
透花の言葉に、王は驚いた様子を見せる。
「そ、そんなもので本当によいのですか? もっとこう、金銀や財宝など……」
「王様、お気遣い感謝いたします。ですが、これが私たちの今日の働きに対する、何よりの褒美になると思うのです」
透花の笑顔に、王は負けたようだ。
「……一色殿がそこまで言うのなら、わしはそれで構わぬ。ですが、せめて準備などはこちらにさせていただけないか?」
「そこまでしていただけるなんて、感激です」
「いや、それほど今日の一色隊の働きは素晴らしいものでした。わしは一足先に王宮に戻るので、この者を一色殿の供につけよう。必要なものがあれば、この者に言ってくだされ。なんでも用意いたしましょう」
「王様、本当にありがとうございます。今後も精進してまいりますので、よろしくお願いいたします」
そう言い、跪き頭を下げた透花を見て、王は晴れやかな表情で王宮へと戻っていった。