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くじけない種




甘やかされて育った両親

その間に産まれた子ども達

子ども達には、それぞれ夢が有りました。そんな話し。





 お父さんは一級建築士。お母さんは教師。


 お母さんは、両親に大切に大切に育てられました。家事手伝いをした事も無くお嫁に来ました。洗濯も、掃除も、料理も、どうやって良いのかまるで分かりませんでした。毎日のご飯は買って来たお惣菜ばかりでした。そもそも憶える気さえ有りませんでした。


 実家は漁で生計を経てていましたので、定期的に魚が送られて来ました。でもさばく事が出来ません。送られる魚はいつも棄てていました。料理をしてみようと食材を買って来るのですが、冷蔵庫に入れ忘れてこれも全て棄ててしまうのでした。


 こんな毎日が続き、食費は嵩む一方でした。


 お父さんは七人兄弟の末っ子で、皆に可愛いがられ甘やかされて育ちました。自分の我が儘は何でも通りました。何も我慢せず何でも思い通りに成りました。お父さんはお酒が大好きで、毎晩飲み歩きました。


 二人の間には一歳づつ年の離れた子どもが三人います。子ども達は幼い頃から厳しく育てられました。言う事を聞かないと、竹の物差しで足を叩かれました。口ごたえをしても、叩かれました。子ども達には厳しく。自分達には甘く。そんな家族でした。



 子ども達にはそれぞれ夢がありました。長男は警察官。二男は建築士。長女は保育士に成る事。夢の為に三人は、大学を目指し努力をするのでした。


 神様は心配していました。


 お父さんは不景気に成っても、景気の良かった頃の生活を変える事は無く。お母さんも、ちっとも変わろうとはしませんでした。


 やがて子ども達は高校へ進み、大学へ行きたいと言いました。お父さんもお母さんも大喜びで、近所の人達に自慢していました。


 長男は、春も夏も秋も冬も寝る暇もおしみ毎日毎日勉強を頑張りました。受験の年に成りました。一つ目の受験は残念な結果に成りました。でも、どうしても大学へ行きたかった長男は、もう一つ大学を受験しました。その大学は、見事合格したのでした。


 皆で大喜びしたのも束の間。困った事に、家にはお金が有りません。


 大学は物凄くお金が掛かるところです。入学金ですら払う余裕は有りませんでした。お父さんもお母さんも働いていて他の家よりも収入は有るのですが、将来の為の貯金も、教育の為の資金も、全く用意していなかったのでした。


 お父さんは今頃に成って慌てて金作に走りました。でもどこに借りに行っても、今までの借金が有るので貸しては貰えません。結局は、大学を諦め無ければ成りませんでした。


 神様は腹が立ちました。大学に行かせて上げられ無いのなら、始めからお金が無いから行かせられ無いと、言えば良いものを……。子どもにも回りにも見栄を張り、結局は子ども達を傷付けた。


 一度は、親に“計画の種”を植えた事があったけれど、あの種は枯れてしまった。悪い方へ働く種ならば、枯れる事も無いのだが、良い方へ働く種は中々芽が出ない。


 子ども達に種を植える事にしよう。この種で大人達に負けずに、逞しく人間界を生きて行って欲しい。神様は、子ども達それぞれに“くじけない種”を植えました。


 長男はアルバイトをしながら勉強を続け、公務員試験を受け見事警察官に成る事が出来ました。そして、五年後に事件をきっかけに知り合った女性と結婚し幸せに暮らしました。


 二男は建築科のある高校へ行き、卒業後は建築事務所で働きました。そこで有能な建築家と出逢い、彼の元で腕を研きました。


 長女は高校を卒業して、働きながら通信教育で保育士に成る為の勉強を始めました。


 子ども達は、両親に酷い目にあわされていたのに、嫌いに成る事は出来ませんでした。度々両親の元を訪れては、お酒やおかずを手土産に親孝行するのでした。







 子どもは、親を選ぶ事が出来ません。どんな親の元に生まれても、どんなに辛い環境でも、くじけずに、心を強く持って生きて欲しいと願っています。


 と、神様は思いました。







 おしまい。









本当の意味で 大人に成って居ない大人が、多いと思います。


そんな人が親に成って、一番迷惑をするのは 子ども達だと思います。


そんな大人達に左右されず、手本にせず、生きて欲しいと思います。


反面教師にして下さい。









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