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異説鬼退治Ⅱ Final

 ツンデレラはひらりと大きく一歩飛び下がりました。

 お爺さんは予想通りに地面に衝突し

「ごほぁは?」

 と間抜けな声をまき散らして、ツンデレラが事前に用意していた落とし穴に引っかかります。

「あら、お爺さん? 体重が重いのね」

 お爺さんはふがふがと落とし穴の中でもがいています。

「中にはネバネバみたらし団子をたっぷりと仕込んでおいてあげたわ。どうかしら? 夜伽には最適ではなくて?」

 厭味ったらしく、でも優雅に。

 ツンデレラはもがくお爺さんを見下ろします。

「まあ、その中でしばらく遊んでなさいな。私たちはそのうちに撤退させてもらうわ。ええ、長倉。コルトパイソンでこの変態の頭を撃ちぬきなさい。殺しても死なないでしょうけど、警察に引き渡すまでの時間稼ぎくらいは出来るわ。警察に引き渡してからは……」

 お爺さんを除く、そこに立っている全員が桃太郎の家の玄関に振り向きます。

 どす黒い殺気が立ち込めているからです。

 その殺気を纏った影は食べかけのみたらし団子を持っていました。

「ウキャーー!」

「ホームズ! 落ち着いて! いや、お爺さんを徹底的にボコるって、どうしたのさ?」

 桃太郎が慌てて駆け寄ります。

「ウキキ! ウキッ! ウキャー!」

「ええ? お爺さんがまたホームズのみたらし団子かっぱらって食べたって? それぐらい許してあげなよ。ていうか、今はそれどころじゃないんだ。ツンデレラの貞操が……」

「ウキキキ!」

 ホームズは桃太郎の制止を振り切って、お爺さんの前まで走ります。

 目は怒り、毛は燃えるように逆立っています。

 そして、空気は震撼しているようでした。

 真っ黒なオーラを纏って、お爺さんを見下ろすホームズはまさに鬼神そのものです。

 そこにいる誰もが動けずにいます。

「おお、ホームズや。ワシを助けてくれぃ! そしたら、ロリとの新婚旅行を譲ろうではないか」

「ウキ」

「何? 却下じゃと? 贅沢ものめ! ならば、豪華海鮮料理二泊三日の旅もプラスしてやろう。これでどうじゃ?」

「ウキ」

「まだ納得せぬか。ならば、バナナ一万本くれてやろう! これでどうじゃ?」

「ウッキーーーーー!」

 キレたホームズは落とし穴でもがくお爺さんに襲いかかりました。

 その様はまさに一瞬千撃。

 目にも見えない高速の拳が動けないお爺さんに喰らいつきます。

 そしてフィニッシュに金だらいをお爺さんの頭にたたきつけました。

 そしてポーズ。ホームズの背中には『猿』という文字がでかでかと映っています。

 怒りを鎮めた最強のサルはとことこと家の中に戻っていきました。おそらくは残ったみたらし団子を探すのでしょう。

 何秒かの沈黙が流れました。

「終わった……のね」

 ツンデレラの呟き。

「うん、まあとりあえずは」

 ダイゴロウとポアロを介抱しながら桃太郎が答えました。

「何とか、これで全滅は免れたみたいだ。ヒイラギさん、長倉さん、大丈夫ですか?」

「ああ、我々は大丈夫だが。この後どうするのだ?」

 長倉はサングラスをかけなおして桃太郎に問いました。

「そうですねえ。どうしましょう。大江戸警察では手におえない連中ですし」

「ねえ、お兄ちゃん。私にいい考えがあるの」

「どんな?」

「私の知り合いにね、黒雪姫って女の子がいるんだけど、その子の所に預けたらどうかしら?」

「ええ? 女の子でしょ? 多分お爺さんに貞操奪われる危険性が……」

「大丈夫よ。その子のそばには強い魔女がいるんだもの。それに護衛の七人の小人もいるしね。だから、きっと大丈夫」

「ちょっと考えさせてもらうよ。とりあえずは鬼が島㈱の座敷牢に放り込んで、社長さんに面倒見てもらうことにするよ、当分は」

 ダイゴロウとポアロが目を覚まして、立ち上がりました。

「さてと、そろそろご飯時ですね。皆さん、一緒にいかがですか?」

 と桃太郎の提案。

「さんせーい!」

 ツンデレラは元気に答えました。

 ヒイラギと長倉も頷きます。

「じゃあ、支度します。どうぞ、家の中へ」

 桃太郎は数分後に知ることになるのでした。

 冷蔵庫の食材を根こそぎホームズが食い尽くしていたことを。

 そこで仕方なく猿鍋が提案されますが、それは全員で却下されます。仕方なく組御用達の和風レストランへ行くことになるのでした。

こんばんは、jokerです。

夜中に俺は一体何を書いてるんだ、と思いつつ投稿です。

最後にホームズを活躍させました。彼にも一個くらい見せ場がいるだろうということで。


今度こそ、次回で最終話です。

最後は『後日談』。


ツンデレラの今後は?


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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