異説鬼退治Ⅱ⑪
この結末を誰が予想したでしょうか。
ダイゴロウとポアロが作った秘密兵器『閃光玉きび団子』と『毒ガスきび団子』はお爺さんには効きませんでした。そして、なすすべもなく倒される二匹。
桃太郎は正宗でお爺さんの大根を捌いていますが、圧されています。
ひときわ甲高い金属音が鳴り響きます。
大根の中身はなんだとか突っ込んではいけません。そういう小説なのですから。
打ち合うこと数十合、桃太郎の正宗の刀身がせんべいのように叩き折られました。
膝をつく桃太郎を見下ろします。
「ぐふふ、勝負あったようじゃの」
お爺さんは満足げです。
「これからは『異説鬼退治』などというタイトルではなく、『神聖カッコいい爺列伝~ハーレム王に俺はなる~』というイカしたタイトルに変更しようかの」
とどめじゃ、とお爺さんは叫びます。
大根を大上段に構え、思いっきり振り上げ
「待って!」
ましたが、ツンデレラの悲鳴のような声を聞いて、それを止めました。
「わが嫁の頼みといえど、聞けぬぞ。この桃太郎はわがハーレムを阻む、ワシにとっての鬼! ゆえにこの爺は桃太郎を成敗するのじゃ」
ツンデレラの額に青筋がくっきりと浮かびます。
「……下手に出れば、付け上がってくれるわねこのクソジジイ。誰が嫁になるって?」
ツンデレラは桃太郎に目配せします。
桃太郎は小さく頷きました。
隙を見つけて突撃しろ、ということですね。
「大体、あなたみたいな年寄に嫁に行くほど私は落ちぶれていないわ。それに、自分の相手くらい自分で選ぶわよ」
「愛いのお、愛いのお。そのツンデレっぷり最高じゃ」
お爺さんは舌なめずりします。
「でも、まあ私を優しく抱きしめてくれるならいいわ。一夜限りだけど、お爺さんの嫁になってあげる」
それは甘い蜜のような声での誘惑。少女とは思えぬ、妖艶な笑みと誘いの言葉でした。
「ぐふふ、一夜限りの嫁もよいのお」
ヒイラギがかなりブチ切れてしますが、ツンデレラは手でそれを制しました。
お爺さんは桃太郎から離れ、よたよたとツンデレラに歩み寄ります。
あと五メートル。
大根を放り投げます。
「ロリの処女ゲットだぜ!」
お爺さんはツンデレラに向かってハヤブサのごとく、飛び込みました。
「ツンデレラ! 逃げるんだ! お爺さんに捕まったらここでは書けないようなことされちゃうよ!」
桃太郎の叫びはツンデレラの耳には入っていません。
一方で、そのツンデレラは口元を歪めて微笑みました。まるで気まぐれな悪魔のように。
こんばんは、jokerです。
ツンデレラの命運やいかに?
お爺さんの嫁になるのか? はたまた大逆転か?
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……