物体Tと自由人
仲間が増えます
「ゼェッ、ハアッ……フウ。………んお?」
さっきから無我夢中で走ってたから気付かなかった。
「玄関ってどこだ?」
おかしいな。下に向かって走ってた筈なのにここは四階だ。
必死すぎて感覚がおかしくなったのか!?
………ふむ、まあ今は冷静だからいいか。
階段を見つけて一階まで降りて玄関に向かった。
…………何故だ。
俺は玄関に向かった筈だ。なのに何故理科室の前にいる。ここは四階だぞ?
そういえば、さっきもここにいたな。
入れって事か?
「………上等だ」
ニヤッと笑ってドアを壊した。
修理代?何それおいしい?
理科室の中は外より暗い気がする。
「うへー、不気味ー」
確かここにスイッチが……っと、あったあった。
カチッという音と共に明かりがついた。
いつもと変わらない景色が目にはいる。
「何かあるかなーっと」
鼻歌を歌いながら探索開始。
さてさて、何が出てくるかなー。
一番出てきそうなのは標本にされた動物だよなー。あ、人体模型という線もあるな。
あー、楽しみすぎる!
ワクワクしながら歩いていると、足の裏に変な感触が。
ま、まさか………!!
唾を飲んで下を向く。
俺が踏んでいたのは苦しそうな物体T、もとい竜真の腹。
「お前かああああああ!!!」
「ぐぼおぅ!?」
ムカついたから腹に踵落としを決めてやった。
ちくしょう、俺の期待を裏切りやがって!
「なんだ?今の鈍い音は」
物陰から人影が。
今度こそ!?
「ん?慧斗?なんでこんなとこにいるんだ?」
出てきたのは仁だった。
「お前もかああああああ!!!」
飛び膝蹴りを喰らわせたい!
飛びかかったら避けられた。
「何すんだよ。危ないな」
どこがだ。
あっさり避けやがって!
「チッ。で、なんでお前らはこんなとこにいるんだよ」
「舌打ちは聞かなかったことにしとくな。しかもそれさっき俺が聞いたし」
そうだったか?
「ま、いいか。気付いたらここにいたんだ。そいつも一緒にな」
仁が指差したのは伸びている竜真。
そんなとこで寝るなよ。
「ったく、そろそろ起きろよ」
伸びている竜真に蹴りで止めを刺した仁。
おー怖い。
「ぐばっ!な、なんでこんなのばっか……」
ふらふらと立ち上がった竜真は酔っ払いのおっさんみたいだった。
「ここにはもう用はないな。他のとこに行くか」
「賛成ー」
「右に同じく」
ならさっさと出るか。
カタカタカタ……
静かな理科室に小さな音はよく響いた。
「竜真、遊ぶなよ」
「オレじゃねぇよ。慧斗だろ」
「ちげぇよ。仁か?」
「違う」
全員違うとなれば残る可能性はひとつ。
「やっと出てきた」
さあ、何が相手かな?
慧斗が怖くなった……
次はまた人数を増やす予定です