コール音が鳴り響く
久しぶりすぎて内容がハチャメチャになった気が……
電話の音だけが、やけに大きく聞こえる。
「……おい、誰の携帯だよ」
「俺のだ」
鳴ったのは仁の携帯だった。
「ふおー、びびったぁ……。誰からなんだよ」
俺の後ろに隠れていた竜真が出てくる。
「………さあ?」
「さあって……」
自分の携帯だろ。
呆れた後、俺は重大なことに気付いた。
この空間に、電波ってあったのか?
確認してないが、この空間に電波なんてないと思う。
だって、幽霊だらけの空間だぜ?あるほうがおかしいだろ。
それを伝える前に、仁が電話に出た。
警戒心薄いな、おい。
「…………もしもし」
『――――――――――』
「は?」
『―――――……』
電話はすぐに切れたらしく、携帯を見ながら怪訝な顔をしていた。
「誰からだったんだ?」
「メリーさんさん」
さんさんってなんだ、さんさんって。
「それって、メリーさんじゃ……」
竜真の顔が青ざめる。
「?……ああ、メリーさんって言ってたな」
「あー、で、どこにいるって?」
「学校の前らしい。なんだ、知り合いか」
「んなわけないだろ」
幽霊に知り合いなんていてたまるか。
ピルルルルルルル――――――
着信音が違うな……。
「うあっ、お、オレのだ……」
「早く出ろ」
「鬼畜!」
なぜだ。
恐る恐る出る竜真。
「も、もしもし……」
『――――――――――』
「ひっ」
切れた瞬間に、竜真は携帯を遠くに投げた。
壊れるぞ。
「どこだって?」
「げ、玄関……」
やっぱ近づいてるな……。
「順番から言ったら次は俺の携帯にかかってくるのか?」
「そうじゃないのか?やっぱり知り合いなんだろ」
「違うっつーの」
やめろ、この天然が。
ピリリッピリリッ――――――
「予想通りだな」
ためらいなく電話に出る。
「もしもし」
『もしもし、私メリーさん。今、二階の階段にいるの』
それだけ言うと、電話は切れた。
俺たちが今いる場所は二階。
階段からは約10メートル。
……近いな。
「さて、どうするか」
「なんでそんなに冷静なんだよ!」
「慣れだな」
「知り合いなのに怖がる必要がどこにある」
仁、お前もう黙っとけ。
ピリリリリリ――――――
「また俺か」
仁が電話に出る。そしてすぐに切った。
「この教室の前にいるらしい」
「そうか」
じゃあ、次が俺たちの背後か。
「お前ら、背中を壁にくっつけろ」
「は?なんで?」
「死にたいのか?」
「滅相もございません」
ぴったりと壁にくっついて電話がかかるのを待つ。
ピルルルルルルル――――――
来た。
竜真の携帯は、数メートル先で鳴っていた。
ああ、そういえばさっき投げてたな。
取りに行かないとダメか?と思っていたが、勝手に通話中になった。
『よくも……っ、よくもやッてくレタわネ…………』
前と、後ろから、地を這うような声が聞こえる。
よし、成功か。
壁から離れて振り向く。
「おお……これはこれでホラーだな」
壁からは、腕が2本生えていた。
『ユルさ、ナい』
「そこで動けねーくせに」
「なあ、慧斗。これ、メリーさんだよな?」
「ああ」
「なんでこんなことになってんだ?」
「メリーさんてさ、いろんな本に書かれてるけど、最後は『あなたの背後にいるの』で終わるだろ?じゃあ、背後が壁だったらどうなるのかと思ってな。埋まってくれてよかったぜ」
「あの、もし埋まってなかったら……?」
竜真も野暮なことを聞くなー。
「もちろん、蹴り倒してましたが?」
にっこり。
そんな効果音が付きそうな笑顔で言い切った。
間違いとかあれば教えてほしいです
対メリーさんの方法なんて知りません
自分の考えです