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陽炎稲妻水の月  作者: 秋雨
本編
22/28

救出、脱出

~仁side~

黒い塊にのまれていく慧斗を、俺はただ見ていることしかできなかった。

『うふふっ、一人になっちゃったねっ』

ギッとおかっぱを睨む。

『そんなに怖い顔しないで。すぐに合わせてあげるから』

ねっ、と首を傾けるおかっぱに吐き気がした。

おかっぱの近くにいる竜真はピクリとも動かない。

最悪の場合が頭によぎる。

駄目だ、俺が弱気になってどうする!

(かぶり)を振り雑念を追い出す。

冷静になれ。最悪の状況は回避するんだ!

武器になるものは硫酸と調理室から拝借したナイフ、フォーク、スプーン、慧斗とが作ったおにぎり(仮)か………。

あ、そうだ。

ポケットに手を入れる。

『何をしても無駄だよ!もうすぐみーんな私と一緒になるんだ!!』

「ほざけ」

ナイフを出しておかっぱに投げる。

『あは、そんなの当らな…っ!?』

言葉を詰まらせたおかっぱの頬には赤い線がはいっていた。

『な、んで…なんでなんでなんでなんで!!?なんで当たるのよ!!!!』

「うるせぇんだよ」

持っているナイフを5・6本連続で投げる。

『っ、当たらなきゃ意味ないわ!』

ナイフは避けられたが、それが俺の狙い。

さっきまでおかっぱがいた場所に向かって走る。

『しまっ…………』

おかっぱの目が見開かれたが、もう遅い。

倒れている竜真を素早く回収する。

「竜真は返してもらうぞ」

『っ、いいわ、もう一人いるもの!!』

おかっぱが叫ぶが、残念だな。

「慧斗も、渡さない」

おにぎり(仮)を取り出して黒い塊に投げた。

それは、黒い塊の中に飲み込まれていった。

――――ギッ、ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!

黒い塊は叫びながらのたうち回る。

効果抜群だな……。

『何!?どうしたの!?』

驚いて駆けよったおかっぱでさえ吹っ飛ばされていた。

よし。あとは慧斗次第だな。

こっちは竜真を起こすことに専念するか。


~慧斗side~

――――――暗い

ここは……?

………ああ、そうか。俺、黒い物体に飲み込まれたんだっけ。

それにしても、寒い……な……。

体を丸めると、足元に何かが絡みつく感触があった。

『寒い『怖いよ『ひトりは『ヤダヤダヤダ『助けテ『一緒『あなタモ『イっしョに――――』

気持ち悪いのに、払いのける気にもなれない。

もう、このまま飲み込まれてもいいや………。

ぎゅっと膝を抱え込む。

――――――……とっ

微かに聞こえた、声。

――――――慧斗っ!!

仁、の、声か…………?

――――――受け取れっ!!

そっと顔を上げると、何かを投げた後の格好の仁が目に入った。

『ウあああアアあ『ガアあああア『ぎゃあアアあああああっ!!!』

そして耳をつんざくような悲鳴。

絡みついていたものもなくなった。

“ソト”の世界に、出られる――――。


~仁side~

塊の中から手が飛び出した。

その勢いに乗って体もずるずると出てくる。

「げほっげほっ、ん゛っ」

凄い咳き込んでいるが、無事そうな慧斗。

よかった……。

「あ゛、あ゛ー、あー。……ふう、ひでぇ目にあった」

「お帰り、慧斗」

「おう、ただいま」

竜真を担いで慧斗に近づき、拳を合わせた。

「んで、もうあいつは()っていいんだな」

「ああ、竜真はここにいるしな」

『あ……ああ………』

黒い塊を見ながら呆けているおかっぱに慧斗が近づく。

その手には小さな鳥居があった。

「じゃあな、こっくりさん」

慧斗が投げた鳥居がおかっぱに当たると、音もなく、吸い込まれていった。

「はい、完了っと」

鳥居は、慧斗が粉々に壊した。

こっくりさんの正しい対処法?がわからないです


知っていたら是非教えて下さい!

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