鏡の中は……
流石鏡の中の世界、とでも言ったらいいのか?
文字とかすべて逆になってる。
おかげで読みにくいぜ。
「鏡の中に入ったのはいいが、肝心のこっくりさんがいないぞ」
「入ったらすぐに遭遇すると思ったんだけどな」
また校内散策か………。
「早めに見つかればいいけど……」
~校内散策中~
めぼしい場所発見。
ここは……2―Dか。って、俺らの教室じゃん。
中から物音が聞こえるから間違いないな。
「………行くぞ」
「ああ」
取っ手に手をかけて一気に開く。
『アソぼウ』
『オイデ、おイデ』
中にいたのは、黒い“塊”。
塊から手、目、鼻、足、人間のありとあらゆる部位が飛び出していた。
眉を顰める。
気持ち悪……。
しかもなんか臭ぇ………。
「う゛っ……」
隣で仁が口を押さえる。
そうしたくなる気持ちはわかるぜ。
「こいつ、こっくりさんか……?」
「……どうやらそうらしいな。ほら、あそこを見ろ」
そう示した場所には、竜真を連れていったおかっぱがいた。
『あれ、お兄ちゃんたち自分から来てくれたの?うれしいなぁ』
おかっぱがこちらに気づき、はしゃいでいる。
「ああ、探すのに苦労したぜ?こっくりさんよぉ」
「竜真はどこだ」
『竜真?……ああ、先に連れてきたお兄ちゃんのこと?それなら、ほら。ここにいるよ?』
おかっぱが横にずれると、うつぶせで倒れている竜真が見えた。
「竜真!」
『もうっ、うるさいなぁ。まだ何もしてないよぉ』
「てめぇ……」
腰を落としていつでも走りだせるようにする。
『そんなに怖い顔しないでよ。うっかりこのお兄ちゃん殺シちゃウカも………』
おかっぱの右手が刃物に変わり、竜真の首に添えられる。
「っ………」
『あハッ。そのまま大人しくしててね?』
周りが暗くなる。
まさか……!
『すぐに終わるから』
ばっと振り向くと黒い塊が迫っていた。
何の抵抗もできずに、俺は塊に飲み込まれた。
「慧斗っ!!」
『安心して。みんなすぐに送ってあげるからぁ』
暗くなる視界に、仁の焦った顔と、おかっぱの楽しそうな顔が映った。
ちくしょう………っ!!
慧斗ピンチか!?
なんかギャグ要素がはいらないなぁ……。