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2.地球人は『宇宙の〇〇〇〇〇族』だ

「といったところでもう一つの疑問について考えてみよう。今度は『地球に来ている宇宙人は何故地球人と交流しようとはしないのか?彼らの優れた技術を伝えようとしてくれないのか?』だ。この理由について考えてみよう」

「UFOロビイスト達は何て言ってるんです?」

「『宇宙人は我々地球人が生物的にも社会的にもそれだけの技術を扱えるレベルに進化するまで待っているのだ』そうだ。まあ、最初の疑問に対する回答の延長上の答えだよな。この回答で納得できるかい?」

「いやー、そんな理屈じゃ全然納得できないですね」


 永州にしてみればそんな理屈で相手を納得させられると思っているのが謎だ。

 そしてそれで納得してしまってこいつらに金を出して番組制作してしまう奴等が存在するのが更に謎だ。


「『この技術は人類には早すぎる』っていうなら早すぎない程度で兵器転用されないような技術教えてくれりゃいいだけじゃないですか。それで地球人に感謝されれば、彼らもいい気分で母星に帰れてウィンウィンです」

「まあそう思うよな。じゃあそうなっていない理由は何だと思う」

「『宇宙人が既に地球に来ている』として、ですよね……うーん、『地球人と見た目が違い過ぎて怖がらせてしまうから』とか?」

「絶対ないとは言えんけどな。とりあえず地球の言語でメッセージ飛ばせばいきなりUFO撃ち落とすことは無いだろうことや、宇宙人の優れた科学技術を欲しがるだろうこともあっちは理解してるだろう。そのためには見た目の差異を大した問題にしないだろうこともわかっているはずだ」

「うーん」


 確かに宇宙人が地球人の見た目と相当違っていても皆当然と思うだろう。


「で、俺はその理由を地球における北センチネル島の現況から推測してみた」

「ハア?何ですかそれ?え?島?」

「北センチネル島。インドが領有している島なんだがな。その島の住民であるセンチネル族は有史以来他所の民族との交流がないとみられ、現在でも外界との接触を拒んでいる。島に近づいたら矢を射掛けられるぞ」

「あー、何か聞いたことあるような。で、それが宇宙人と何の関係が?」

「それなんだが……あ、マスターはどう?俺が言おうとしてること当てられる?」


 と、薩浜はマスターの黒瀬に話題を振る。


「まあこの流れからしましたら。16世紀にヨーロッパが新大陸に進出した後に起きたアレのことでしょう。近年でもセンチネル族以外の孤立部族と外界の接触で度々起きていたようですね」

「やっぱりわかっちゃったか」

「何のことです?」

「疫病さ。孤立していた民族には我々が軽症で済む病気でも免疫を持ってない可能性が高い。下手すりゃ風邪で絶滅だ。だからインド政府はセンチネル族への接近を固く禁じている」


 16世紀にスペインからアメリカに持ち込まれた天然痘によって人口の9割を減らされた部族もいたという。


「だから宇宙人も俺達に病気をうつさないよう接触してこないと?」

「そういうことだな」

「なるほど……っていやいやいや、直接接触する必要ないんですからモニター越しに交流すればいいじゃないですか。未知の技術だって説明書でも図面でもいくらでもデータで送れますよ」

「宇宙人と地球の生物では体の造りが相当違うだろう。問題ないと思ってうっかり教えた発明品から発した電磁波かなんかで地球人絶滅なんてリスクを負うよりは正体を晒さず今の『実在するif世界』としての成果を得続けた方がいいと判断した。これならあり得るんじゃないか?」

「う〜ん、あの宗教臭いUFOロビイストの説よりは信じやすい、ですかねえ……」

「マスターはどう思う?」

「いいんじゃないですか。『宇宙人はあくまで実利を求めてる』そして『地球人は宇宙のセンチネル族』だってことで。宇宙人を神であるかのように崇める説よりよっぽど腑に落ちます」

「だよなー」


 その後も宇宙人についての雑談は続いた。





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