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エピローグ 幸せな家庭を作ろう

「よし、小麦はこんなもんだろう」


「父様、父様~!」


 耕助がシェリアに性的な意味で捕食されてから十年後。


 昔に比べてはるかに広くなった畑で仕事をしていると、一番上の娘のフィーナがイノシシをぶら下げて、元気よく物理的な意味で飛び込んでくる。


 どんな執念か、恐らく耕助が捕食された初日に授かったであろう娘はすくすくと育ち、最近ではいろんな意味でシェリアに似てきた。


 特に見た目はシェリアの子供のころの姿だと言っても通じるぐらいよく似ており、将来はもう一人シェリアがいるのと変わらない感じになりそうである。


「今日の獲物か?」


「はいっ! みんなで捌いて、料理の練習に使います!」


 まだ十歳になっていないとは思えない立派な胸をたゆんと揺らし、元気いっぱいそう宣言するフィーナ。


 聞いたところによると、翼人族の女性は発育がよくて第二次性徴が早いため、八歳九歳で胸が膨らんでくるのは普通とのことだ。


 もっとも、さすがに十になる前に巨乳カテゴリーに入れるほど育つのはまれだそうで、シェリアの故郷だとシェリア以外にここまで発育がいい女の子はいなかったそうな。


 このあたり、母親の遺伝なのだろう。


「そういや、アンジュとミレーヌは?」


「レティ母様の引率で、砂漠の大アリジゴクを狩りに行ってます! ヨハンも一緒です!」


「そうか。まあ、レティが引率してるなら余裕か」


「はい!」


 姿を見ない子供たちについて、今どこで何をしているかを父に教えるフィーナ。


 ちなみに、アンジュはセレナとの間に出来た娘で、ミレーヌはシェリアの次女、ヨハンはレティの息子だ。


 これで分かるように、結局レティも待てずに耕助との間に子供を作っている。


 聞けば、ドラゴンは妊娠期間が短いうえに、子供も一歳になるころにはイノシシぐらいは余裕でしばき倒せるようになるとのことで、あっさり押し切られた。


 その説明の通り、ヨハンは立って歩くようになったころには耕助なんぞ鼻にもかけない戦闘能力を見せているが、単に強いだけではこの島で偉そうにはできない。


 そもそも、ヨハンごときはウォーレンやドリーでも簡単に取り押さえることができる。


 なので、戦闘能力だけで父親を見下すようなことはなく、よく分からない作業でいろんなものを作り出す耕助のことを心の底から尊敬している。


 もっと言うなら、耕助が作る道具や調味料、薬剤がないとまともに調理できない食材が多いため、物を作る才能に一切恵まれていないヨハンは胃袋的な意味で父親に勝てないのだ。


 なお、他にも子供はいるが、ここでは紹介を割愛する。


「それにしても、エリー姉様は大丈夫なんでしょうか?」


「調子悪そうだったからなあ。まあ、心当たりはいろいろあるんだが……」


 超文明遺跡の病院で検査を受けているエリザベスについて、心配そうに話すフィーナと耕助。


 ここのところ調子が悪そうだったので、シェリア達に付き添われて徹底検査となったのだ。


 特に耕助は、結局いろんな意味でエリザベスに負けて夜の生活に突入しているので、良い理由悪い理由双方に心当たりがありすぎる。


 ちなみに、エリザベスに限らず、嫁になった相手とは結婚式のようなものは特にしていない。


 セレナが来て以降、外部から人間が流れ着く事件がピタッと止まってしまったため、式を挙げる意味が薄かったのだ。


 なお、耕助の名誉のために言っておくと、十八歳となったエリザベスは、身長も胸もセレナを超え、女性の中ではどちらのサイズもシェリアの次という大層立派な大人の女性となっている。


 それまでの関係性がなければ、ぶっちゃけレティとやったという事実のほうが犯罪臭く感じるぐらいには大人びている。


 また、双方にその気が一切ないため、耕助はクリスには手を出していない。


 というより、耕助はせめて自分から行かないのと一線を越えた時のシェリアより肉体的に成熟するまで迫られても逃げ回るのが節度だと思っているので、迫ってこない限りはそういう関係にならない。


〔・おめでとう、耕助!〕


 そんな話をしていると、唐突に現れた立て札がやたらにぎやかな飾り付きでそんな一言を見せつける。


「……やっぱり、エリザベスは?」


〔・ん、ご懐妊〕


「エリー姉様、弟か妹を授かったんですか!?」


〔・ん、そうなる。

 ・また一人、かわいい赤ちゃんが

 ・ボク的には大満足〕


「気が早いぞ。いくら遺跡の医療設備が優秀だっつっても、まだ無事に生まれるとは言い切れないんだからな。そもそもエリザベスは普通のヒューマンだから、今まで子供を生んでくれたシェリア達より事故の確率が高い」


 おめでたい報告に舞い上がりそうになりながら、あえて不安要素を口にする耕助。


 シェリアに次ぐエロボディに育ったとはいえ、エリザベスは肉体的には耕助と大差ない。


 体格的にはむしろ華奢なほうだということもあり、シェリアやセレナほどの生命力を感じさせないので、安産という面ではどうしても不安が募るのだ。


〔・その点は否定しない。

 ・でもまあ、大丈夫。

 ・今シェリアが、安産のお守りたくさん集めてるから〕


「……普通なら単に胡散臭いだけなんだが、この島だと実効性があるんだよな……」


 普通なら何が大丈夫なのか分からない立て札の言葉に、ため息交じりにそう応じる耕助。


 そのまま、さっさと収穫した小麦を倉庫にぶち込み、風呂のほうへと向かう。


「父様、お風呂ですか?」


「診察後のエリザベスに会いに行くのに、さすがに泥汚れが付いた状態ってのはちょっとな……」


「わたしも一緒に入ります!」


「さすがに、フィーナはもうだめだ」


「え~!?」


「いや、いくら自分の子供だからって、異性の子供と一緒に風呂入って許されるのはせいぜい五歳ごろまでだろ?」


 なぜか一緒に入りたがるフィーナに対し、必死になってダメだしする耕助。


 いくら何でも自分の子供に欲情することはないが、それでもすでに大人の女性の体つきになっているフィーナと混浴はどう考えてもアウトだ。


 そんなこんなでもめていると、ワープポータルからエリザベスが出てきて、耕助に飛びつく。


「耕助さん耕助さん耕助さん! やりましたの!」


「ああ、立て札から聞いた。ありがとうな」


「喜んでくれて、安心しましたの」


「子供ができて喜ばないほど、薄情な男のつもりはないぞ。ただ、シェリア達ほど強靭な肉体をしてるわけじゃないから、せめて安定期に入るまではいろいろ自重してくれよ?」


「分かっていますの。残念ですけど、夜のほうはシェリアさんたちにお譲りしますの」


「……あれだけ破廉恥ですの破廉恥ですの言ってたエリザベスが、どうしてこうなった……」


 やたらと積極的なエリザベスに、思わず遠い目をする耕助。


 そんな耕助の耳元で、エリザベスがささやく。


「性欲というものを理解してから、五年以上お預けをされたのが原因ですの。ようやく好きになった人にささげられたのですから、貪欲になるのも当然ですの」


「そもそも、よくて兄弟悪けりゃ父親ってぐらいの関係性だったはずなのに、いつの間に俺のことをそんな目で見てたのかが全く分からんのだが……」


「わたくしも、自分が恋愛感情を持つ種類のファザコンだったとは思いませんでしたの」


 耕助のボヤキのような言葉に、満面の笑みでそう言い切るエリザベス。


 この島唯一の男とかそういうことに関係なく、いつの間にか耕助を愛してしまっていたのだ。


「耕助さん、耕助さん」


「なんだ?」


「これからも、みんなでいっぱい家族を作りますの!」


「……そうだな」


 女でかつ母の顔で、そうささやくエリザベス。


 そこに、大量のお守りを持ったシェリアが飛んで戻ってくる。


「耕助さん、エリザベスさん! 頑張って安産のお守りを集めてきました!」


 十年前と全く変わらぬ容姿のシェリアが、元気にそう宣言する。


 そこに、立て札がにゅっと現れる。


〔・そんな耕助たちに朗報。

 ・繁殖に成功した知的種族が一定数を超えたから

 ・新たな集落が発生〕


「それのどこが朗報なんだ……」


〔・うまくやれば

 ・子供たちの結婚相手を確保できる〕


「ああ……」


 そう言われれば朗報だと、思わずうなずいてしまう耕助。


 さすがに、姉弟で子作りなんていろんな意味でダメすぎる。


「耕助さん、エリザベスさん! もしかしたらクリスさんにピッタリの男性とかいるかもしれません!」


「そうか、その問題もあったな」


「ですの」


「がんばって、みんなでいつまでも続く幸せな家庭を作りましょう!」


「ですの!」


「じゃのう」


「そのためにも、私ももう何人か子供が欲しいわね」


「……なぜ、私まで巻き込まれる流れになっているのでしょう……」


 なぜかテンションアゲアゲのシェリアの宣言に、その場にいたエリザベスだけでなく、いつの間にか戻ってきていたレティ、セレナ、クリスの三人も各々に思うところを口にする。


〔・とりあえず、耕助〕


「……ん? なんだ?」


〔・子作りと子育て、ガンバ〕


 やたらその気になっている女性陣について、そんな身も蓋もないことを言い出す立て札。


 立て札の言葉に、思わず自分の甲斐性が足りるだろうかと畑を見てしまう耕助。


 なんだかんだで、何気に今でも普通に幸せな家庭を築いている気がしないでもない耕助であった。

というわけで、いろんな意味でモチベーション切れたので、このお話はここでおしまいとさせていただきます。


いろいろと準備や練り込みが足りなかったなあという反省はありますが、とりあえずちゃんと耕助は日本にいる時より幸せになったのでよしということで。


なお、10年で畜産をはじめとしたいろんな要素が解放されていますので、衣食住全部日本並みとはいかないものの、それに近いところまで発展してます。

意外かもしれませんが、その発展には案外超文明遺跡が役に立ってなかったりします。

作中の時間であと10年もしたら、たぶん超時空要塞が完成するでしょう。


耕助たちの話はとりあえずこれで終わりですが、そのうちどこかで息子か娘がゲスト出演するかもしれません。

その時はまたよろしく、ということで、また次の話でお会いできればと思います。

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― 新着の感想 ―
澪の子供?が出たから良かった。 また東の活躍する話を期待してます
更新、お疲れ様です。 フィーナは耕助捕食しそうですねw 懐きすぎてて。 父親離れが出来るか心配です。 >ウォーレンやドリーでも簡単に取り押さえることができる どんな魔域ですかw ご懐妊、めでたい…
完結お疲れさまでした。
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