第34話 超古代遺跡を見に行こう その4
「昼からの探索は、まずこのカードキーが必要な建物からだな」
「じゃのう」
午前中は後回しにしていた建物を観察しながら、方針を再確認する耕助とレティ。
その建物の扉は、レティやシェリアが何をしてもびくともしないほどしっかり閉じられていた。
「まずは扉を開けないとどうにもならないわけだが……、多分これだな」
扉の横にあるスロットを見つけ、カードキーを挿しこむ耕助。
カードキーを挿しこんですぐに、扉のあちらこちらがわざとらしく意味深な感じでSFチックに光る。
一通り光った後、シュンという感じの効果音効果音に合わせて対角に扉がスムーズな動きで開く。
「あざといぐらいにSFだな……」
「SFじゃのう……」
扉の挙動を見た耕助とレティが、おもわずあきれてそう漏らす。
その言葉を聞いたシェリアが、不思議そうな表情を浮かべる。
「あの、SFって何ですか?」
「シェリア達に説明するのは難しいんだが、ガチャで出てくるシェリアにはよく分からない機械類があるだろ?」
「はい」
「ああ言うのの技術が極度に発達した世界を想像して作った物語のことを、SFっていうんだ」
「へ~。そういう物語だと、こんな感じの建物とか出てくるんですか?」
「ああ。滅んでることを別にすれば、ほぼこのままって感じだな」
例によって例のごとく、正確には大分違う説明をする耕助。
とはいえ、シェリアにサイエンスフィクションだなんだと言っても通じるわけがないので、こればかりは仕方がなかろう。
というより、耕助がこういう正確には大分違う説明をするのは、正確な説明をしても通じないだろうものばかりである。
これに関しては、恐らく我々が同じぐらい高度な魔法文明の説明を正確にされても理解できないだろうというのと同じことで、現時点ではどうにもならない。
「とりあえず、拠点に置いてある機械のことが分からないと理解できないのは分かりましたの。それで、この中には何があると予想していますの?」
「なんとなくの雰囲気から、ちょっと特殊な公的機関かこの都市の統括をしていた施設かのどっちかだろうとは思う」
「根拠は?」
「ここだけ、入るためにカードキーが必要になってたからな。それだけ重要な施設だったんだろうと予想してる」
エリザベスとクリスの質問に、端的に答える耕助。
なお、表向きの予想の根拠はそれだが、本当の理由はゲームなどのフィクション作品におけるお約束もそんな感じだというメタ読みなのは言うまでもない。
そんなことを言いながら入っていくと、すぐに受付だった風情のカウンターがあるフロアに出る。
「入口が厳重に閉じられてて受付があり、そこから続いてる廊下や部屋もカードキー付きの扉でふさがれてる、と」
「何とも、キナ臭そうな建物ですね」
受付フロアの構造をチェックしての耕助の言葉に、渋い顔でそんな感想を言うクリス。
こういう厳重な管理をしている建物というのは、往々にしてろくでもない用途に使われているものである。
「このレベルの厳重さとなると、何かあれば都市機能が完全に喪失するほど重要な機関か、逆に表ざたになれば完全にいろいろ終わる何かをやっているかのどちらかじゃろうな」
「お約束だと後者の、邪悪な研究とかその類をやってた施設ってことになるんだろうけどなあ……。その類の施設にしては入るための要求権限が低いというか、こんな序盤で危険度皆無扱いで出てくるのは違和感があるんだよなあ……」
「この施設自体は重要な機関で、その中に表ざたに出来ない何かに関連した資料とかがあった、という可能性はありませんの?」
「ああ、その可能性はあるな」
レティがキナ臭いことを言い出し、その内容と自分たちが入れるという現実との落差に悩んでいると、エリザベスがそれっぽい結論を提示してくる。
とはいえ、ロビーでうだうだやっていても何が分かるわけでもない。
「せっかく入れたんですし、細かいことはいけるところを全部回ってから考えましょう!」
「まあ、それもそうだな」
シェリアのいろいろ放棄した意見に、苦笑しながらうなずく耕助。
実際、単に受付フロアの構造だけであれこれ考えても、確かなことは何も分からない。
「問題は、このカードキーがそのまま使えるかなんだが……」
「受付があるということは、よほど権限が高いものでない限りは素通りにはならんじゃろうな」
「だよなあ。となると、受付で何らかの操作をする必要があるわけだが、機能がどの程度生きてることやら……」
「言うて、ここはギミック型のダンジョンと同じ扱いじゃからのう。最低限必要な機能は普通に生きておるはずじゃ」
「ああ、そりゃそうか。ついでに言うと、複雑な操作が必要な機能は、こんな入り口部分にはないはずだって考えると……」
レティのアドバイスにもとづき、受付に置いてあるカードリーダーにカードキーを挿しこむ耕助。
ピピピという電子音とともにカードリーダーが点滅し、二秒ぐらいしてからカードキーが排出される。
「……よし、入場許可が付加されたな。有効期限は二十四時間か。とりあえず、これでどこかに入れるようになったはずだ」
「あの、それで、この先に行けるようになりますの?」
「多分な。まあ実のところ、最初の扉はカードキーさえあれば通れるって可能性もあるが」
「それを確認してませんの!?」
「どっちにしても、このカードリーダーが機能したってことは、この作業をやったカードがどっかで必要になるだろうからな。面倒を避けるために、先にやっておくに越したことはないだろう?」
「それは確かにそうですの」
エリザベスの突っ込みに対して、しれっとそんなことを言う耕助。
超古代遺跡をギミック型のダンジョンとして考えると、絶対にやっておかないとどこかで進めなくなるとメタ読みできる。
なので、扉の確認はこのカードで開かない扉に行き当たるまで必要ないと言える。
「それで、どの扉を開けてみますの?」
「最終的に全部開けることになるだろうが、こういう時は素直にこの正面のデカい扉でいいんじゃないか?」
「じゃのう。メタ読みすると、この時点でこのデカい扉が開くのであれば、大抵左右の細い通路の先は、真ん中の目立つエリアのギミックを何とかせんと行き止まりになっておるからの」
「そういうものなのですの?」
「「そういうもんだ(ものじゃ)」」
エリザベスの疑問に対し、二人そろって力強く断言する耕助とレティ。
これに関しては、RPGのお約束と言ってもいいだろう。
なお、似たようなお約束として、目立つエリアを優先的に進めると、往々にしてわき道を調べる余地なくクリアしてしまうというのもある。
意地が悪いゲームの場合、わき道に超強力なアイテムを配置した挙句、一度クリアするとダンジョンが消滅して二度と回収できなくなるという罠を仕込んでいることも多々ある。
もっとも、この遺跡は超古代遺跡なので、クリア後消滅する可能性は薄いので、そこを過剰に警戒しなくてもいいだろう。
逆に、わき道を先に回っておかないと正面の扉が開かないのもよくある話だが、これに関しては開けてみれば分かる話なので現時点で気にする必要はない。
「じゃあ、カードを通してみるわ」
そういって、扉の横のカードリーダーにカードキーを挿しこむ耕助。
挿しこまれたカードに反応して、扉があっさり開く。
「やはりこのパターンじゃったな」
「だな」
あっさり先に進めたことでいろいろ確信を持ちつつ、慎重に進んでいくレティと耕助。
その後ろをついていくエリザベスとクリス。
シェリアは最後尾でいろいろ警戒している。
とはいえ、現時点では危険度皆無の遺跡なので、警戒と言っても変なギミックが発動して出られなくなることに対してぐらいではあるが。
「……何もないな」
「……何もありませんの」
「……恐らく、何かを展示するか、集まって何かを行うためのホールだったのでしょうね。大公家が持つ建物にも、入ってすぐにこういう大ホールの扉がある建物はございますし」
「じゃのう。その何か、というのは今のところ、情報が足りなさ過ぎて判断できんが」
「私、こういう何もない広いお部屋がある建物って初めてです!」
何もない大ホールに肩透かしを受けた様子を見せる耕助たちを尻目に、シェリアが妙にはしゃいだ声を上げる。
そんな中、耕助が目ざとく地味な位置にある扉を二つ、発見する。
「本命はあれか?」
地味ながら、なんとなく今までよりも厳重そうなカードリーダーが付いている扉に近づく耕助。
とりあえず、カードリーダーにカードキーを通してみる。
「……エラーか。となると、他に何か条件があるな」
カードキーがはじかれたのを見て、一応鑑定してみる耕助。
鑑定結果は
”特殊資材室への扉1:特殊資材室へと通じる扉。開けるためには中央管理システムもしくは管理機体が起動した状態で、管理者権限が付与されたカードキーを通す必要がある”
となっていた。
「こっちは通れそうにないな。この建物のシステムを起こす必要があるらしい」
「ふむ。どんどんとらしい内容になってくるの」
「だな」
耕助の鑑定結果を聞き、何やら納得したようにうなずくレティ。
それを見ていたエリザベスが、ふと気になったようにシェリアを見る。
「そういえばシェリアさんは、ああいう扉をぶち抜こうとか考えませんの?」
「ダンジョンの壁とか扉って、大抵壊せないんですよね~」
「そうなのですの?」
「はい。なので、多分あの扉も壊せないと思います」
「シェリアさんのパワーで壊せない扉って、意味が分かりませんの……」
シェリアがおとなしくギミックに従う理由を聞き、世界の奥深さを思い知るエリザベス。
そんなエリザベスとシェリアのやり取りをスルーし、もう一つ見つけた扉にカードキーを通す耕助。
こちらは今の時点で条件を満たしていたようで、何の抵抗もなくあっさり開いて地下に降りる階段が出てくる。
「大きなフロアから地下へ直結ですか……」
「耕助よ。この扉は鑑定しなかったのか?」
「地下シェルターだとさ。カードキーLV1しか条件がなかったから、避難場所なんだろう」
不審に思っていることを隠そうともしないクリスの言葉を受け、レティが耕助に確認を取る。
レティの質問に対し、階段を下りながら鑑定結果と開錠条件からの推測を告げる耕助。
「本当に避難場所だといいんじゃがのう……」
そんな不穏なことをつぶやきながら、耕助を追って階段を下りるレティ。
こうして、たいして探索が進まないうちに、どこまでも不穏な雰囲気を孕みながらクライマックスっぽくなるのであった。
「結構深かったですねえ」
「しかもまだ続いてるみたいだな……」
「すごく大規模ですの!」
ようやく地下一階の扉を見つけたところで、能天気な感想を口にするシェリア。
その言葉を受け、うんざりした様子で続いている下り階段を見ながらぼやく耕助と、地下部分の巨大さにおののくエリザベス。
扉を抜けるとすぐに長い廊下があり、左右に一つづつと突き当りに一つ、今までとは比べ物にならないほど厳重に閉じられた扉が見つかる。
物理的な機密が見てわかるぐらいガチガチに固められており、間違いなく非常事態の時に隔離するための施設であることが分かる。
「どうやら、三区画に分かれてるみたいだな。……シェルターAとシェルターB、コールドスリープ室1だとさ」
「その三択であれば、コールドスリープじゃろうな」
「だよな」
扉の鑑定結果を確認して、即座にその結論で一致する耕助とレティ。
管理者とかその類が生きているとしたら、まずそこ以外にない。
とはいえ、SF知識が一切ないシェリア達にはそのあたりの理屈は分らないので、真っ先にそちらに行く理由はピンと来ていないようだが。
「あの、耕助さん、レティさん。こーるどすりーぷって、何ですか?」
「人間を冬眠させるシステムだな。何か災害があった時に、危機が去るまで老化しないよう冬眠状態でやり過ごすとか、そういう発想で使う」
「冬眠したら、老化しないんですか?」
「科学者じゃないから詳しいことは知らんが、極度に遅くはなるらしい。まあ、俺の故郷ではまだ実用化されてなかったが、理論上はできそうだと結論は出てたっぽいな」
「へ~」
シェリアにコールドスリープについて簡単に説明しながら、コールドスリープ室の扉を開ける耕助。
こちらの扉はLV1で入場許可権限が付与されたカード、もしくはLV2以上のカードでないと開けられない仕様だったが、入り口で付与作業を済ませていたため全く問題なく開く。
扉を開けた先には、多数の空の医療ポッド的なカプセルが並んでいた。
「これは、なんですの?」
「物語だと、これが人間を冬眠させる装置だな。この中で寝てる人間は、冬眠状態になってるはず」
「すごい数ですね~」
「一見してたくさんありますが、その実大した人数は収容できないようですね」
「そりゃまあ、そうだろうな。この都市の人口がどれぐらいだったかは分からんが、こんな設備を全員分なんて用意できるわけがない。もっと言うと、根本的な話としてこの施設に限らず、何か破滅的な事態があった場合、全員を助けるなんてできないのが普通だし、多分何らかの優先順位に従って、助ける助けないを決めてたんだろう」
「でしょうね。こういう言い方は反感を買いそうですが、姫様一人とまともな教育を受けていない子供百人であれば、姫様一人のほうが様々な意味で重要ですし」
「クリス!」
「クリスの立場からすればそうだろうな。一般的な農民や商店の店員を馬鹿にするわけじゃないが、そういう下働き的な職業の人が何万人いても、高度な教育を受けた指導的立場の人間や高度な技術者、医者なんかがゼロだったらあっという間に詰むし」
「逆に、そういう人材ばかりでもあっという間に詰むがの」
そんな話をしながら、中身が入っているカプセルがないか探す一同。
それを最初に見つけたのは、シェリアであった。
「耕助さん! なんか変なのが入ってます!」
「変なの?」
シェリアに呼ばれ、中身を確認しに向かう耕助。
「……なんでだよ!」
シェリアが示したカプセルを覗き、思わず全力で叫ぶ耕助。
カプセルの中には、昭和のブリキのおもちゃでよくあるような、ロボットロボットした感じのロボが入っていた。
「……なぜにこの手のカプセルに、こういうタイプのロボが入っておるのじゃ……」
「普通、こういうのに入ってるのって、美少年か美少女、もしくは明らかに偉そうな重要人物だろうが!」
「譲ってロボだとしても、アンドロイドとかもっと人間っぽい外見のものじゃろうに……」
耕助のクレームに同意し、そんな益体もないことを言うレティ。
そんな二人に、あきれた顔でクリスが声をかける。
「何を言っているのか分かりませんが、中身を出さなくていいんですか?」
「……そうだな。ものすごく釈然としないが、現時点でこいつが唯一の手掛かりだ。一応起こすか」
クリスに言われ、渋々ながらカプセルを調べる耕助。
小癪なことに、このカプセルだけ鑑定結果が他のものと違い、コールドスリープ用カプセルではなく小型メカ用メンテナンスポッドという名称になっている。
「……見た目がおんなじなのに、こいつだけメンテナンス設備なの、罠過ぎるだろ……」
そうぼやきながら、あちらこちらをチェックして操作を確認。リリースボタンと再起動ボタンを発見してカプセルを解放する。
「……ピピピ。ピピガガー。システムチェック、オールグリーン。再起動完了ロボ」
「……ちゃんと生きてはいたか……」
「ピピガガー、状況調査。……文明崩壊を確認。……当機のシャットダウンから推定二百万年経過。当施設の関係者は全滅と推測メカ」
「二百万年か。また大きく出たもんだな……」
「超古代遺跡じゃからのう。実際に経過したかどうかはともかく、同等の時間経過があったのと変わらぬ劣化状態にはなっておるじゃろう」
「むしろ、二百万年経ってて残ってるピザとか飲み物とかが怖いんだが……」
再起動したロボの言葉に対し、割とどうでもいいところに食いつく耕助とレティ。
その間にも、ロボの現状把握は続く。
「ピピガガー。権限LV1のカードキーを確認。暫定で本施設の管理者と定義。状況を教えてほしいロボが、よろしいメカ?」
「ああ。つっても、ここはゲームっぽい仕様の無人島で、開拓の最中にいろいろあってカードキーを入手したら、なぜかこの遺跡が砂漠の中から浮かび上がってきたってことぐらいしか言えることはないが」
「……ピピガガー、理解不能ロボ。なんでそうなるメカ?」
「それは俺が聞きたい。で、このカードキーじゃ開けられない場所があっちこっちあるんだが、開けられるようにはできるか?」
「ピピガガー……。当機の権限では、カードキーをLV2にアップグレードすることと、LV1のカードキーを複製することしかできないメカ」
「LV2か。まあ、今移動できる範囲だと、それで十分だな。それとは別に、特殊資材室への扉ってのがあって、そこに入るのにシステムを起動しなきゃいかんらしいが、できるか?」
「ピピガガー。特殊資材室なら、当機が同行すれば問題なく解除できるロボ」
「そうか。後、この施設はここにつながる大ホール以外まだ調べてないんだが、優先的に回ったほうがいい場所はあるか?」
「ピピガガー。まずは特殊資材室でシステム復旧のための資材を回収するロボ」
「了解」
ロボの言葉にうなずき、ホールに戻ろうとする耕助。
その後ろで、シェリアが無邪気な声でロボに質問する。
「それで、ピピガガーさんは、何て呼べばいいですか?」
「ピピガガー。ピピガガーというのが当機のことであれば、当機はロットナンバー01389652、機体ナンバー018。高度機密施設管理機体ZX型。個別の機体名称はないロボ。好きに呼んでくれればいいメカ」
「じゃあ、そのままピピガガーさんで」
なんでもいいと言われ、そのまま安直にピピガガーと呼ぶことにするシェリア。
本当にそのあたりに興味もこだわりもないらしく、特に異を唱えることなく耕助の後に続くピピガガー。
再び長い階段を上り、大ホールに戻ったところで、異変が発生する。
「ピピガガー。空間のねじれを観測。異常事態発生ロボ」
ピピガガーがそう告げると同時に、大ホールの真ん中にバチバチという音とともに黒い穴が開く。
その穴の中から白いほっそりとしたきれいな手が出てきて
「ふん!」
可憐な声からは想像もつかない気合に満ちた叫びと同時に、一気に左右に開かれる。
「な、なんだ!?」
突然の出来事に狼狽する耕助の目の前で、黒い穴から緑の髪のちょっと幼さを感じさせる美しい少女が顔を出す。
そのまま穴から這い出すように身を乗り出し、
「はっ!」
勢いをつけて飛び出す。
スタっと華麗に着地。それと同時に、メイド服を押し上げるシェリアほどではないがかなり巨大な胸がたゆんと揺れる。
「セレナ!?」
「姫様! よかった!」
出てきた人物の姿に驚きの声を上げるエリザベス。
そんなエリザベスの姿に、相好を崩すセレナと呼ばれる女性。
そのままエリザベスの元へ駆け寄り、愛おしそうに抱きしめる。
「……えっと?」
「以前に話した、セレナ先輩ですね……」
「ああ、例の……」
クリスの端的な説明に、いろいろ納得する耕助。
そのやり取りに、ようやく耕助たちの存在に気が付くセレナ。
「あら、あらあらあら!」
耕助を見てシェリアを見、レティを見てからもう一度耕助に目を向けるセレナ。
その表情は妙に嬉しそうで、目に浮かぶのはある種の肉食獣の輝きだ。
「これだけの美人ぞろいなのに、誰にも手を出していないヘタレ、もとい紳士的な対応。姫様やクリスにもちゃんとした食事を与えている善良さ。何より、翼人族とエンシェントドラゴンが同行しているのに、委縮していない妙な肝の太さ。最高ですわね」
褒められているのかけなされているのか分からない評価に、思わずたじろいで一歩下がってしまう耕助。
そんな耕助をロックオンし、次の質問を繰り出すセレナ。
「どうやら、姫様とクリスがお世話になっているようですわね。よろしければ、お名前と年齢を教えていただけませんか?」
「え? あ、ああ。荒田耕助、三十五歳だ」
「まあ、とてもちょうどいい年齢ですわね」
すさまじく不穏なことを言い出すセレナに、冷や汗が止まらない耕助。
そこに、唐突に立て札が生えてくる。
〔・ようこそ、無人島へ!〕
「あら、なんだかすごい力を感じる立て札ですわね。神様か何かかしら?」
〔・似たようなもの。
・で、新人の巨乳メイドさんに一言。
・今後、敬語禁止〕
「あら、どうしてですか?」
〔・すでにシェリアとクリスでかぶってるから
・超紛らわしい。
・しかも、部分的にエリザベスともかぶりそう〕
「あらあらあら」
立て札のひどい言い分に、頬に手を当てて困った様子を見せるセレナ。
そこには、先ほどの命とは別の種類の身の危険を感じさせる剣呑さはなくなっている。
「……てか、一番最初に言うほど重要なことか?」
〔・配信を字幕でしか見れない存在だと
・致命的と言っていいほど重要。
・ロボが美少女アンドロイドとかじゃなかったのより
・よっぽど問題〕
「……そうか……」
妙なことを力説する立て札に、そう返すしかない耕助。
そのやり取りを見ていたエリザベスが、セレナの腕の中で指示を出す。
「立て札さんが力説するのだから、すごく大きな問題だと思いますの。なのでセレナ、敬語禁止ですの」
「……分かったわ、姫様。断腸の思いで、できるだけ敬語なしで頑張りましょう」
本当に断腸の思い、という感じで渋々立て札の指示を受け入れるセレナ。
「……で、今は何をしていたんだったか……」
唐突な出来事に、困惑を隠しきれずそう呟く耕助。
予想外の乱入者により、いろいろとグダグダになってしまったのであった。
セレナパイセンが、自力で出番をねじ込んで来た件について。
最初は漂流物として筏の上に腕組み仁王立ちで登場予定だったのに……。
なお、超蛇足ですが、こういう女性キャラが多くて割とセクシャルなネタががっつり出る系の作品のお約束、乳比べをすると
シェリア>18歳エリザベス>セレナ>=レティ&立て札の本体>13歳エリザベス>超えられない壁>クリス&立て札&ドリー
となります。
後、セレナの話でちょっと触れますが、実年齢は三十路のセレナさん、実は肉体的には13~14の発育と体格がいい女の子扱いなので、まだ成長します。
でも、最終的には姫様に逆転されて引き離されるという。




