表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/39

第17話 設備を増強しよう

「そういえば耕助さん。今日はミッション関係確認してないんじゃないでしょうか?」


「言われてみれば、シークレットミッション以外チェックしてねえわ」


 戻ってきたシェリアに言われ、いつものルーティーンをやっていなかったことに気が付く耕助。


 今日はデイリーだけでなくウィークリーミッションも更新されているはずだし、家を建てたのだから次のミッションも始まっているだろう。


 それに、アップデートがあったのだから、新しくミッションが追加されているかもしれない。


 なお、農作業が終わった時点で、ウォーレンは畑に植わっている。


「ふむふむ。デイリーは畑仕事だから終わっていて、ウィークリーは道具の製作十個か。とりあえず、デイリーを完了して、っと」


 とりあえず、まずはいつものようにデイリーミッションを確認し、完了操作を済ませて報酬を受け取る耕助。


 今回は報酬が資源という初めてのカテゴリーだったので、よく分からない調味料よりはましなものが出るのではと期待していたりする。


「……こいつは、粘土か?」


〔・やったね、耕助。

 ・これで土器が作れる〕


「そうか。で、レシピが分からないんだが、クラフト台でいけるのか?」


〔・クラフト台でもいけるけど

 ・ちゃんとした高性能なものは

 ・窯で焼くのが基本〕


「やっぱりか。そこら辺のレシピも分からないんだよなあ……」


〔・さすがにそれは

 ・この先のミッションでもらえる〕


「そうか。なら、こいつは珍しく当たりの部類か」


〔・ん。量的には全然足りないけど

 ・間違いなく当たり〕


 太鼓判を押す立て札に対し、少し悩ましそうな顔をする耕助。


 自身の運のなさを自覚しているだけに、この後の揺り戻しが気になってしょうがないのだ。


「まあ、あたりを引いたこと自体は、素直に喜ぶとして。長期目標のほうを確認するか」


 そう言いながら、タブを長期目標に切り替える耕助。


 予想通り、長期目標のほうには大量のミッションが追加されていた。


「えっと、いくつか完了してるやつがあるな」


 大量に追加されたミッションのうち、完了済みになっているものを見つける耕助。


 その内容を確認すると


・ダンジョン、もしくは古代遺跡をクリアしよう(1/1):ワープポータル

・住民を増やそう その1(3/2):食料貯蔵庫のレシピ

・住民を増やそう その2(3/3):鉱物資源採掘場

・原住種族を発見しよう その1(1/1):伝言板の機能拡張


 の四つであった。


「……その1のカウントが2からスタートしてるとか、すでにカウントが3あるとか突っ込みどころはいろいろあるが、一番気になるのは伝言板の機能拡張だな」


〔・それは単純に、交易のページが増えるだけ

 ・具体的な内容は、実際に見て確認〕


「了解。ちなみに、2からスタートの理由は?」


〔・ミッション発生前に、すでに住民が増えてたから。

 ・つまり、シェリアは数に含まれてる。

 ・ちなみに、耕助自身は数に含まれない。

 ・居るのが大前提だから〕


「ってことは、この3っていうのはシェリアとレティとウォーレンか……」


〔・そういうこと〕


「マスコットだったり住民だったりテイムモンスターだったり、ウォーレンもややこしいポジションだな……」


 数字の内訳を聞き、ウォーレンのポジションの複雑さに思わずぼやく耕助。


 ウォーレン一体が担当している役割が多すぎる。


「あの、ワープポータルって、何ですか?」


「どうせ、登録された地点同士を一瞬で移動できるとか、そんなところだろ?」


〔・ん、その通り。

 ・ただ、今の時点では

 ・ダンジョンをクリアした際に帰還できる場所が

 ・ダンジョンの入り口とこのポータルの二カ所になるだけ〕


「へ~……」


 立て札の説明に、いまいち分かっていない感じの反応をするシェリア。


 それを見た立て札が、耕助に言う。


〔・百聞は一見に如かず。

 ・こういうのは実際に体験するのが早いから

 ・耕助はさっさと全部完了操作〕


「了解」


 立て札の言葉にうなずき、終わっているミッションの完了操作を済ませる耕助。


 耕助が完了操作を済ませると同時に、家の傍に謎の光の渦が出現する。


「こりゃまた、ゲーム的なワープポータルだな」


〔・分かりやすくていいでしょ?〕


「だなあ」


 立て札の言葉に同意しつつ、とりあえずワープポータルを鑑定してみる耕助。


 鑑定結果は、


”ワープポータル:その名の通り、いろんな先に転移できる玄関口。現在はどこともつながっていないため、ここから移動することはできない。まずは設備レベルを上げて、新しく転移先を設置できるようになろう。ダンジョンからの帰還先としては使える”


 というものであった。


「設備レベルか。どうやったら上がるのやら……」


〔・設備レベルの上げ方はいろいろ。

 ・大体は設備そのものの改修か更新で上がるけど

 ・ワープポータルの場合は使用回数と魔力の投入量〕


「魔力の投入、ねえ……」


〔・今の時点では、深く考える必要はない。

 ・そもそも、転移先を増やせないと価値がないから

 ・最初の一レベルはすぐ上がる。

 ・という訳で、シェリア。

 ・適当なダンジョンを一個つぶしてくる〕


「はーい」


 立て札の指示を受け、三つほど空のアイテムバッグを確保してそのまま飛び立とうとするシェリア。


 そこに耕助が待ったをかける。


「ちょっと待った、シェリア。できたら海岸近くにある、この潮騒の洞窟レベル1ってのをクリアしてきてくれないか?」


「分かりました」


 耕助に行き先を指定され、大体の位置を確認して今度こそ飛び立つシェリア。


 それを見送った後、立て札が不思議そうに耕助に聞く。


〔・なんでわざわざ、行き先を指定?〕


「ミッションにな、レベル1のダンジョンをクリアしろってのがあったんだよ。報酬が資源用倉庫のレシピだったから、ついでに回収しておこうってな」


〔・ああ、なるほど。

 ・あからさまに事故が起こりそうなダンジョンだから

 ・エロいことを期待したのかと思った〕


「……しまった、そこまで考えてなかった」


 立て札の指摘に、おのれのミスを悟る耕助。


 海辺の、しかも潮騒なんていうあちらこちら水没していそうなダンジョンで、シェリアがエロトラブルを起こさないわけがない。


 所詮レベル1のダンジョンだからか、耕助が頭を抱えている間にも、ダンジョンと古代遺跡のページに表示されている進行度の数値がどんどん増えていく。


 そして、五分と経たずに潮騒の洞窟レベル1は攻略され……


「おお! こんな風に戻ってくるんですね!」


 全身ずぶ濡れであちらこちら透けたりはだけたりしたあられもない姿のシェリアが、元気いっぱいに戻ってくる。


〔・シェリア、シェリア。

 ・そのままだと、さすがにR15では通らない。

 ・早く身づくろいする〕


「あ、そうですね」


 立て札に言われ、慌てて魔法で身づくろいをするシェリア。


 配信先が神々相手なので問題ないが、地球だと普通に動画が消されるレベルである。


〔・でまあ、ポータルっていうのはこういう感じ〕


「すごく便利です!」


〔・今はダンジョンから戻ってくるためにしか使えないけど

 ・レベルが上がればダンジョン以外にも行き来できるようになる〕


「そういや、ポータルの場所って、移動させたりできるのか?」


〔・ボクもしくは耕助ならできる。

 ・他は無理〕


「できるなら助かる」


 ポータルについて一番大事なところを確認し、安堵のため息をつく耕助。


 移動させられないようであれば、この位置を基準に建物やら設備やらの配置を考える必要が出てきて面倒なのだ。


「そういえば、最初の時と違って今回は、中のモンスター全部仕留めたらこのポータルみたいな渦が出てきたんですが、それはこっちのポータルができたからですか?」


〔・ん、そういうこと。

 ・ちなみに、ポータルの数が増えると帰還できる先も増える〕


 シェリアの質問に対し、補足説明付きでそう答える立て札。


〔・で、さっき出てた、魔力の投入だけど

 ・シェリア、ダンジョンで回収してきたもの見せて〕


「あっ、はい」


 立て札に言われ、アイテムバッグからどさっと戦利品を取り出すシェリア。


 多分素材なんだろうなあという感じのカニの爪やら謎の鱗やらに混ざって、不思議な輝きを放つ謎の石が転がり落ちてくる。


〔・その光ってる石。

 ・それを持ってポータルに近づけば

 ・石を投入するかどうか聞かれる〕


「それで投入すると宣言すれば、魔力を投入できると」


〔・そういうこと。

 ・詳しくは鑑定してもらうとして

 ・その石はいわゆる魔石っていうもの。

 ・ワープポータルだけでなく

 ・鉱物資源採掘場とか他の設備の強化にも使える〕


「さっきも気になってたんだけど、鉱物資源採掘場ってなんだよ?」


〔・その名の通り、鉱物資源を採掘できる。

 ・いわゆる採掘ポイントってやつ。

 ・掘れる資源はランダム。

 ・ちなみに、粘土も鉱物資源に含まれる〕


「そりゃまた、ご都合主義的な代物だな……」


〔・こういうタイプのゲームだと、普通の仕様〕


「まあ、そうなんだが……」


 立て札の言い分に同意しつつ、そういうのはゲームだけでいいのではと思わなくもない耕助。


 とはいえ、それが不都合とも言い切れないのが難儀なところではある。


 そんなことを考えつつ、一応魔石を鑑定すると


”魔石ランク1(保有魔力量3):魔力を内包した、いろんなことに使えるご都合主義的アイテム。主に設備のレベルアップに使うが、魔道具のエネルギー源に使うことも可。この石は使い捨てだが、再度魔力をため込む充魔式のものもある。魔力量1で経験値1になる”


 という解説が。


「充魔式の魔石の場合、設備の経験値にした後も石は残るのか?」


〔・もちろん。

 ・ただ、今のマナ濃度だと

 ・一日にその魔石分ぐらいしか溜まらないけど〕


「マナ濃度ときたか。なんかこう、ランク1相当の魔力しか充電できないとかすごく濃度が薄そうなんだが、そんなんでレティは大丈夫なのか?」


〔・レティには、惑星表面のマナ濃度なんて関係ない〕


「だったらいいけど」


 不穏当な単語を気にする耕助に対し、あっさりそう告げる立て札。


 実際、レティの場合マナ濃度はフルパワーで動ける時間にこそ影響はあるが、普通に生きる分には一切影響がない。


 そしてそもそも、レティがフルパワーで数秒動けば、ラグナロクだのハルマゲドンだのと表現されるような破滅的な天変地異が巻き起こるので、地上界で活動している限りフルパワーで動ける時間なんぞマナ濃度の縛りがなくても大差ない。


「充電式の魔石って言葉で気になったんだが、俺の持ってる魔力を直接注ぎ込んだりとかはできないのか?」


〔・それはものすごい高等テクニック。

 ・多分、付与魔術を極めでもしない限り

 ・ものすごく腕がよくても注いだ魔力の一割も入らない〕


「ああ、そういうタイプか……」


〔・ん。

 ・そもそも魔石の魔力はなんにでも馴染む性質。

 ・だから設備の強化だけでなく

 ・人間が魔法を使う時の外部魔力としても使える。

 ・だけど、生き物が持っている魔力は

 ・基本的に他者に譲るのは難しい〕


「なるほど、そういうパターンか」


「初めて知りました」


「シェリアって、割とこういうことを知らないよな……」


「魔力を譲るとか、考えたこともありませんでした」


〔・翼人族には必要のない技〕


 何気に無知なシェリアに対し、そんな感想を口にする耕助と立て札。


 翼人族に関してはあまり放出系の魔法を使わないこともあり、保有魔力に対して消費魔力が圧倒的に少なくてコスパがよすぎるため、魔力枯渇という単語とは無縁である。


「この魔力1ってのはどれぐらいの量だ?」


〔・それは自分で割り出して。

 ・回答できる情報じゃない〕


「割り出せる気がしないから、気にしないことにするか……」


 ついに出た回答不能を前に、サクッとそう割り切る耕助。


 後々困りそうな気もしなくもないが、現時点では分からなくても特に問題はない。


「他に確認することは……。伝言板の拡張機能については後で確認するとして、鉱物資源採掘場ってどこに?」


〔・ちょっと待って、確認する。

 ・……資材とかガラクタを置いてるあたりに出来てる〕


「了解。ちょっと見てくるわ」


「あっ、私も行きます」


〔・行ってら〕


 今後重要となるであろう鉱物資源採掘場の発生場所を教えてもらい、どんなものかを確認しに行くことにする耕助。


 さりげなくつるはしを回収しながら後に続くシェリア。


 もっとも、畑や伝言板の場所から資材置き場までは数十メートルなので、一分かからず到着するのだが。


「なるほど、このクソ怪しげな隆起が、鉱物資源採掘場か」


「っぽいですね。早速掘りますか?」


「いや、その前に鑑定しとくわ」


 すぐに掘ろうとするシェリアに待ったをかけ、念のために鑑定を行う耕助。


 鑑定結果は


”鉱物資源採掘場レベル1:鉱物資源を採掘できるポイント。現在のレベルでは一日一人五回まで粘土、石材、鉄鉱石のいずれかが採掘可能。何が採れるかはランダムだが、必ず採掘可能なものが一つ以上採掘できる。一回の採掘で採れる量と品質は採掘場のレベルと作業者の熟練度、設備総合レベルで変わる。採掘回数はデイリーミッションが更新されるタイミングで回復。鉱物資源採掘場のレベルは、採掘した合計回数と魔力の投入量により上昇する”


 となっていた。


「つまり、レティにも採掘してもらえば、一日十五回採掘できるわけか」


「ウォーレンさんは?」


「あいつ、この手の作業はできないって言ったからな」


「そうなんですか」


「ああ。だから、こういう時は数に入れないほうがいいだろう」


 採掘回数について、そんな推測をする耕助。


 もっとも、ある程度協力はしてくれるだろうが、レティが毎日採掘作業をやってくれるとも思えないので、基本的には耕助とシェリアの二人しか掘らない前提でいたほうがいいだろう。


「じゃあ、さっそく」


「ちょっと気になることもあるから、今は挙動を確認するための一回ずつにしたい」


「気になること、ですか?」


「ああ。設備総合レベルっていう、今まで見たことない単語が出てるんだよ。だから、そこを確認して、増強できそうだったらある程度増強してから残りの回数を使い切りたい」


「分かりました」


 耕助の考えを理解し、同意するシェリア。


 その後、二人で一回ずつ掘ってみたところ……


「これは粘土でしょうか?」


「っぽいな。一応今のレベルでも二個出るのか。俺のほうは……、石材一個。予想通りといえば予想通りだけどなあ……」


 という結果に。


「よし、とりあえず魔石ぶち込んだ後、倉庫二種を作っちまうわ。シェリアはその間、魔石の回収も兼ねて、伝言板を見てミッションが出てるレベルのダンジョンをつぶして回ってくれ」


「はい!」


 確認事項を全部チェックし終え、この後の予定をそう決める耕助。


 こうして、設備を充実させるための活動を開始する耕助とシェリアであった。








「まずは、資源用倉庫を作るか」


 山積みになっている資材を横目に、作るものをそう決める耕助。


 容量がどの程度か不明だが、それでも少しはすっきりするだろう。


 なお、使用する素材はいつものように、木材と石材である。


「倉庫って割に、使う材料が少ないんだな」


 家はおろか東屋と比べても半分にも満たない要求量に首を傾げつつ、資材置き場から必要な分量の材料を運び出す耕助。


 なお、食料貯蔵庫のほうも使う材料は完全に同じである。


 なので、失敗や呪いの可能性も考えて、耕助は三倍の量の材料を運び出している。


「さて、シェリアがダンジョンを全部潰し終わる前に、とっとと作っちまわないとな」


 そう呟いて、製作作業に入る耕助。


 レシピの難易度が低い影響か、それとも設備レベルが実装されてクラフト台の性能が上がったためか、今までになくスムーズに作業が進む。


「さて、現時点で呪いとかは大丈夫か? ……よし、大丈夫そうだな」


 自分の運的なものは一切信用していないこともあり、こまめにチェックを挟む耕助。


 難易度が低く材料の要求量は少ないが、倉庫類の製作は東屋や家と同じ大工の分類だ。


 クラフト台だけで完成まで行けるとはいえ、部品単位で成功判定や呪いの判定が入るので、ちゃんとチェックをしないと危険なのだ。


「……呪い1に失敗1か。俺がやったにしてはいい成績だな」


 部品をすべて作り終え、満足そうにうなずく耕助。


 この後の組み立てで失敗もしくは呪いが付けばすべて台無しではあるが、それは気にするだけ無駄である。


 すでにそのあたりの割り切りは済んでいるので、耕助はサクッと組み立てに移る。


「……すげえ。俺が作ったのに、一発で祝福付きができた……」


〔・おめ〕


「来てたのか」


〔・ん。そろそろできる頃かと思っていじりに来た〕


「残念ながらと言っていいのか、今回は一発でできた」


〔・別に、成功したからって残念とは思ってない。

 ・というか、倉庫類は早めに作ってもらわないと

 ・そろそろ見栄えがひどいことに……〕


「あ~……。まあ、とっとと設置して、素材だけでも片付けるわ」


〔・よろ〕


 立て札に言われ、完成した資源用倉庫を適当に設置する耕助。


 まだレベル1だからか、資源用倉庫はホームセンターなどで売っているスチール製の物置の一番小さなものを、木製で再現したような外見であった。


「これで、アイテムボックスより容量がデカいのも不思議だよな」


〔・そうでなきゃ、ジャンル限定する意味がない〕


「まあ、そうなんだけど」


〔・後、アイテムボックスは道具だけど

 ・各種倉庫は設備。

 ・なので、普通にレベルが上がる〕


「そう思ったから、採掘するより先に倉庫を作ったんだが」


 そう言いながら、適当にクラフト台の近くに倉庫を設置する耕助。


 そのまま、次の作業に移る。


〔・耕助に一つ、豆知識。

 ・資源用倉庫と食料貯蔵庫の中身は

 ・わざわざ取り出さなくても加工できる〕


「……ああ、クラフト台とか調理器具に紐づけされてるのか」


〔・ん、そういうこと〕


「だとしたら、資材置き場の近くに設置したほうがよかったか……」


〔・とも限らない。

 ・倉庫の中の資材を使うと

 ・中間資材とか倉庫に入ったままになる。

 ・でも、木の棒とかそのまま使いたいことも多いから

 ・クラフト台の近くにあればわざわざ取りに行く必要がなくなる〕


「ああ、そういう挙動をするのか」


〔・ん。

 ・なので、おすすめは作業場と資材置き場

 ・両方に倉庫を設置すること〕


「いやそれ、資材置き場の倉庫と作業場の倉庫の中身、違うんじゃないのか?」


〔・倉庫は倉庫としてひとくくりになるから

 ・どこに設置した倉庫でも中身は共通。

 ・ただ、設置した数が増えれば容量は増える〕


「また、すさまじくゲーム的な仕様だな……」


 立て札から受けた説明にそう突っ込みつつ、そういうことならともう一つ資源用倉庫を作ることにする耕助。


 向こうに設置しておけば、整理整頓が大変楽になる。


 また、クラフト台は居住スペースや畑などとも近いので、立て札が言ったように木の棒とか雑草のロープといった資源と完成品、両方の性質をもったアイテムの出番が多いため、こちらに倉庫があるほうが便利である。


「そういや、倉庫は倉庫としてひとくくりって言ったが、さすがに食料貯蔵庫と資源用倉庫は、容量や出し入れに関しては別扱いだろ?」


〔・現時点ではそう。

 ・ただ、容量はともかくとして出し入れに関しては

 ・倉庫をアップグレードしていけばそのうち変わってくる。

 ・具体的にはまだ秘密〕


「その感じだと、総合倉庫とか出てきそうだな」


〔・そのあたりは

 ・現時点では耕助の想像に任せる〕


「了解。まあ、大分先の話だろうから、今は気にしないでおくわ。資材置き場とクラフト台のところに倉庫があるだけでも十分便利だし」


 そう言いながら、大量に資源用倉庫のパーツを作る耕助。


 連続でパーツの製造に失敗したり、一つ置きに呪われたパーツができたりと、実に耕助らしい不運が続いたのである。


 先ほどほぼストレートに完成したのがウソのようだ。


「ああ、くそ! ビビるほど失敗とか呪いとかが続きやがった!」


〔・それでこそ耕助。

 ・まあ、今だけ順調に進んで

 ・溶鉱炉とか材料に余裕がない重要設備作る時に

 ・こういうのが連打するよりはよっぽどいい〕


「いやまあ、そうなんだが……」


 立て札の厳しい意見に、反論できずに視線を逸らす耕助。


 現時点でレシピは分らないが、少なくとも一番大量に手に入る木材で作るのは無理だというのは分る。


 また、かまどを作った感じ、石材で溶鉱炉や陶磁器を焼くための窯を作るのは無理っぽい印象だ。


 となると、恐らくは粘土を使うのだろうが、粘土は現在入手方法が限定されている貴重品である。


 これを加工する時に、失敗や呪い付きが大量発生というのは笑えない。


「……まあ、呪われた部品は後でお焚き上げするとして、まずは資源用倉庫を完成させるか」


 何かをごまかすようにそう言って、部品を組み立てる耕助。


 最後の一つを取り付けた瞬間、ぼふんという音を立てて作りかけの倉庫が吹っ飛ぶ。


「……マジか……」


〔・フラグ満載だったから、ぶっちゃけ残当〕


「……言うな……」


 まさかの失敗に肩を落としながら、足りない部品を作り直す耕助。


 またも呪われた部品がいくつか出来上がるものの、どうにか持ってきた材料で必要な部品を完成させることができる。


「……今度こそ。……できたけど、マジかよ……」


〔・呪われた資源用倉庫、なむ〕


「くそ! 壊すか……」


 呪われた倉庫という恐ろしい字面に頭を抱えつつ、ハンマーで雑に粉砕する耕助。


 さっきの失敗の場合と違って、今回は部品や材料はもれなく呪われているため一切使い回せない。


 その後も何度も失敗や呪いが発生し、結局二つ目が完成したのは、シェリアが今あるダンジョンを全て制覇してからであった。


「耕助さん、終わりました!」


「そうか、ありがとう」


「でも、何気に魔石ってそんなに出なかったんですよね」


「そうなのか?」


「はい。ダンジョンを五つ攻略して、出たのは二つだけでした」


「なるほど。レアドロップなんだな」


 シェリアの報告を聞き、思わず悩ましい表情を浮かべてしまう耕助。


 思ったよりも、鉱物資源採掘場のレベルを上げるのは大変そうだ。


「とりあえず、魔石の魔力量を確認するか。運が良ければ、一個ぐらいレベル上がるかもしれないし」


「そうですね。これが拾った魔石です」


「ありがとう。……一個はさっきと同じ保有量3だったが、こっちのはすごいな。20もある」


「本当ですか?」


「ああ。これなら、レベル上がるかもな」


 思ったよりデカい魔石にテンションを上げながら、鉱物資源採掘場へ移動する耕助とシェリア。


 魔石を投入し、ついでに資源用倉庫を設置する。


「さて、どうなってるか。……後二回、採掘すれば上がるらしい」


「そうなんですか?」


「ああ。鑑定のレベルが上がったのか、それとも何か条件を満たしたのかは分からないが、次のレベルアップまでの条件が見えるようになってな。どうやら、投入した魔力と採掘回数の合計が30で2にレベルアップするらしい」


「だったら、すぐに掘りますね」


「いや、この場合、俺が掘ったほうがいいだろう。レベルが一個上がった程度で大した差は出ないとは思うけど、それでも俺より圧倒的に運がいいシェリアの採掘回数はレベルアップ後に取っておいたほうがいい」


 そう言ってシェリアを止め、おもむろにつるはしを手に取って振り下ろす耕助。


 素材が二回獲れるまでつるはしを振り続ける。


「……石が三個か。中途半端に運を使った感じがするな……」


 微妙な結果にそうぼやきつつ、鉱物資源採掘場を鑑定する耕助。


 結果は


”鉱物資源採掘場レベル2:鉱物資源を採掘できるポイント。現在のレベルでは一日一人五回まで粘土、石材、鉄鉱石のいずれかが採掘可能。何が採れるかはランダムだが、必ず採掘可能なものが一つ以上採掘できる。一回の採掘で採れる量と品質は採掘場のレベルと作業者の熟練度、設備総合レベルで変わる。採掘回数と投入された魔力量の合計が一定回数になると、次のレベルにレベルアップする。採掘回数はデイリーミッションが更新されるタイミングで回復。鉱物資源採掘場のレベルは、採掘した合計回数と魔力の投入量により上昇する。次のレベルまで(0/60)”


 となっていた。


「レベルはちゃんと上がったが、どう変わったかは掘ってみないと分からないか……」


「じゃあ、掘ってみますね」


 レベルが上がったのを確認し、シェリアが嬉々として採掘を始める。


 シェリアがつるはしを振るたびに、大量に素材が飛び散る。


「鉄鉱石五個に粘土が十個か。一回で掘れる最大量がかなり増えてるな」


「っぽいですね」


「とはいえ、俺の場合、あんまり期待はできないな」


 そうぼやきながら、残り二回の採掘回数を使い切る耕助。


 結果は石が五個という惨敗もいいところで、一回で採掘できる数の最低値は変わっていないことを確認できたことだけが成果という感じで終わるのであった。

資源用倉庫と食料貯蔵庫の見た目は、ホームセンターで売ってるイナバの物置の一番小さいやつを木製にしたイメージでお願いします。


シェリアがダンジョンで回収してきた魔石以外のアイテムですが、ぶっちゃけ耕助が食えない系の食料かガラクタなので省略しました。

悪趣味なネックレスとかずらずら書いて持って言うあれです。


魔力1がどれくらいなのかを立て札が回答しなかったのは、情報規制の問題より抽象的すぎて分かるように説明できなかったことのほうが理由としては大きい感じです。

一応規制対象ですが、立て札の裁量で答えて問題ない範囲でもありますので。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です。 粘土は良いですね~。 色々と幅が広がりますね。 ガチャじゃなくて、土地から取れるようになるとなお良いかと。 ワープポータル、ROで知りました。 現実でもほしいですよね…
[一言] 倉庫まで呪われてしまうとはw しかし、倉庫まで失敗でなく呪われてしまうのはなかなかハードすぎるなぁ どういうロジックで呪われてるんだろうw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ