第3章14-1「Choose One(Level 2)」
教会の外で行われている、レイラさんによるソレイユ嘔吐ショーの見物は流石に遠慮願った。私刑なんて、互いの感情の溝を深くするだけで良い事は一つもないからな。
しかしレイラさんが傍にいない礼拝堂に戻って、飲食する気にもなれなかったオレは、何となく当てがわれた豪華牢屋に引き籠ることにした。レイラさんにはちゃんと行き先を伝えてあるから、滅多な事さえなければ大目に見てくれるだろう。多分。
そういえば赤ずきん少女が繋がれている牢屋、右側の地下だったっけ。場所はーーオレの隣の牢屋らしい。おいおい、こんな場所に襲撃者を置いておくなよ。
動物園のライオンがいる檻越しに、雑魚寝するような気分だ…。レイラさんがしっかり拘束したそうなので滅多な事はないとは思うが、念の為に牢屋の中には入らないでおこう。
『お邪魔しまー…』
サッと通り過ぎようとして横目にソレを見た感想は、酷いの一言に尽きた。恐らく拷問を受けた後であろう痣の数々が、手足を石壁に繋がれて身動きのできない赤ずきん少女の白い肌を上下の半身問わず蹂躙している。
特にダメージが酷いのは…お腹だろうか。鼻をつくような酸液が、口から漏れ出ているのが暗い牢屋からでも見える。ふとしたキッカケがあれば、すぐにでも事切れてしまいそうな浅い呼吸が、この動物園の見世物らしい。
それでも、卑下た行為に晒されなかっただけ彼女は幸運だろう。オレだってその現場を見たくない、唾棄する程の嫌悪感が湧いてくる。
『なんの、よう?』
『まだ喋れるのか、アンタ』
思わず半歩退きながら返事をしてしまったが、どうやらまだ赤ずきん少女には言葉を交わせる程度に意識が残っているらしい。自白剤を打ったような痕は見られないが、手酷く殴られ続けたらしい酩酊さは感じる。恐らくマイティを始めとした、暗殺者たちによる折檻の的になったのだろう。おぉクワバラクワバラ。
しかしここで退けない事情がオレにはある。この横が、現在のオレの豪華牢屋だからだ。
『用はない。こうして来たのは偶然だ』
『そう、ならはやくいって』
相手方もこちらには用がないらしく、淡々と言葉を斬られてしまう。さっさと出て行けと言わんばかりだ。
それ自体は願ったり叶ったりなのだが、何だか態度が癪に障る。なのでオレはーー。
Aルート・Bルートと分岐する為、今回は短めです。Aルート、Bルート共に後日の投稿となります。
それまでに風邪のような違和感を治したいですね…ケホケホ。
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●ヒロインちゃんによる、ソレイユ嘔吐ショー
お酒に酔った勢いで、主人公君に手を出してしまったソレイユへの折檻です。胃の中身がカラになるまで、鳩尾を深く鋭く、何度も拳で抉られたようです。おぉクワバラクワバラ…。
ただ、後の展開にも繋がりますが、実はこのイベントでソレイユは(図らずも)命を救われています。結果だけ見ればヒロインちゃんのファインプレーなのですが…、ヒロインちゃんは「要らない事をした」と反省しているようです。
●赤ずきん少女の繋がれている牢屋
主人公君に宛がわれた、豪華牢屋のすぐ横の普通牢屋です。調度品の位置を調整し、元の牢獄らしい両腕・両脚を繋がれた状態となっています。
ただし、ただ繋がれているだけなので、鎖に可動域はそれなりに広め。牢屋こそ脱出できませんが、牢屋を自由に動き回る事は、ある程度保証されています。
●今回はどこがターニングポイントなの? 2
ズバリ、主人公君が「制限時間内に赤ずきん少女の好感度を少しでも上げる事ができるか」。
現段階で赤ずきん少女の好感度を上げる事ができるのは、主人公君のみです。主人公君を蝕む魔の手を、どう防ぐのか…が鍵ですね。




