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夢渡の女帝  作者: monoll
第2章 眠れる森と焔の夢
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BAD END LOG02「マインスナイパー」

こちらは第2章08-2「Choose One(Level 1:One More)」のBルート(ifルート)になります。主人公君はチャンスを活かせるのでしょうか…?

「…そうだな。質問できない以上、今はそれが一番かもしれない」


 その結果が、今の正直な気持ちだった。残念ながら即興で話題を作る事ができる芸当センスなんて、オレには無い。無理に話題ハリボテを掲げて、忍者女かのじょの機嫌を損ねるよりはずっとマシだろう。


「あら、やけに物分かりが良いじゃない。てっきりまた馬鹿の一つ覚えみたいに同じ質問をしてくると思ったのに」


 …我慢だ。折角の最後の質問権カードを、無駄遣いするんじゃない。瞬間湯沸かし器なオレの思考を、これ以上、熱暴走ヒートアップさせるな。


「か、カケル様?」

「…、……。すみませんレイラさん、自分の為に一緒に来てもらったのに。ですが、今はこれが最善かもしれません」


 何度か震えかけた喉を鎮め、何とか冷静に言葉を紡ぐ。言い返したいのは山々だが、打開策しつもんがないのも事実。たとえレイラさんに失望されたとしても、今は身を引くべきなのだ。


「そ。ならさっさと出ていってちょうだい。目と耳に障るわ」

「…行きましょう、レイラさん」


 繋がれていた手を、今度はオレが引く番だ。踏ん張ればオレの力なんて簡単に振り切れる筈なのに、しかしレイラさんは抗うことなく付いてきてくれる。

 …我ながら最低なエスコートだ。自分の不甲斐ない結果を他人にも背負わせる、どうしてこんなザマを晒してレイラさんの顔を見られるだろうか。

 ようやく慣れてきたオレの視界は、明るい牢屋せかいから遠ざっていく。暗がりの通路せかいは、望まないオレたちの帰還を呪うようによどんでいた。


             ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


 さて。牢屋へやから追い出されたのは良いが、これからどうしたものか。忍者女への質問を考える間、もう一度老司祭の話を聞きに行くか?何も成果は得られないだろうが、もしかしたら彼と話をしている間にも、何かしらヒントが思い浮かぶかもしれない。


(流石にそれは高望みしすぎだろうが、現実的な思考をしやがれクソッタレ)


 当然のように現実的なオレの思考が、そんな夢物語にストップをかけた。ただ老司祭と話をして、それでどうなる?どうせレイラさんも含め、余計なストレスを溜めるのがオチだ。

 ならば他の話し相手は誰がいるかと思い巡らせると、今にも小言が垂れそうな怒りの表情を浮かべた女神様をオレは思い浮かべた。

 確かに、話し相手という意味なら候補ではあるだろう。だが、彼女との念話は正解発見器インチキに近しいものがあるので、できれば最終手段にしたい所だーー。


(そういえば、あの豪華牢屋へやでの会話以来、”ヤツヨ”の念話が全然来ないな。こっちにいる間は念話できないとか?)


 願望のような可能性に望みを賭けようとして、そういえば何故またあの自由神じゆうじんがこちらに降りてきたのだろうかと今更ながら考えてみた。

 レイラさんへの返答にきゅうしたオレを助ける為?あり得ない話でもないが、それこそ念話で伝書鳩すれば事足りた筈だ。わざわざレイラさんの前に現れた理由としては弱い気がする。

 ならば、オレが呼んだ?30過ぎたこのオッサン、現実でもたまに記憶が瞬間飛ぶ時もあるが、女神様(”ヤツヨ”)救難信号(SOS)を出した記憶は無い。無意識に呼んでしまったのなら話は別だが、心を読むあの女神様(”ヤツヨ”)が前後のオレの会話の意図をまない訳がない。そもそも、そんな判定に困るような救援トリガーを女神様(”ヤツヨ”)が仕込むだろうか。


「はぁ…」


 足りない頭なりに考えを巡らせてみたが、結局結論は出せなかった。結論が出なければ対策も打てない、最後の抜け道である「お願い女神様」作戦もおじゃんだ。この肝心な時に念話が使えないのでは、まるで意味がないーー。


「諸々お揃いのようで何ヨリ」


 そんな悶々とした思考の海を潜っていたが、通路の奥に見える階段から声が響いてきて、現実に意識が戻される。靴音が一定のリズムを刻んで、段々と近付いてくるのが分かる。

 ゾクリと、オレの身体が震えた。レイラさんが漏らしてしまった殺意を彷彿とするような黒い言葉に、思わずオレの足が半歩下がる。


「カケル様、お下がりください」


 今まで何も言わずに付いてきてくれたレイラさんが、こちらの手を引いて位置を瞬時に逆転させた。その行動だけで、老司祭に覚えた嫌な予感が再び掻き立てられてしまう。

 靴音が止む頃、その階段から現れたのは、いかにも触りに行ってはならない風貌の人物だった。ボロボロの黒いフードを深く被り、不気味にわらっている仮面を被り、見ているこちらの恐怖心を過剰に植え付けている。男とも女とも区別のつきにくい肩幅と体躯たいくの小ささに目が引かれるが、それを押して有り余る程の異質な空気を、そいつは倍率ドンで乗せてくれやがっていた。


「別に取って食おうって腹積もりは無いヨ。ただ、その牢から出てきた君たちニ、少し聞きたい事があるだけサ」


 不審者のねっとりとした口調が、より一層オレの中で警戒アラートを一層響かせている。手に持つ長棍が、こちらの警戒心を更に刺激する。

 このまま会話するのは危険だと、逃げるべきだとオレの脳が力の限り叫んでいる。だが残念ながら、オレたちに逃げ場はない。唯一の地上への道は、その不審者の背中の先にあるのだから。


「最初に自己紹介のない方は信用しないと決めておりますので。それとも、貴方様はこちらに友好的なお話を?」


 拳を構えて臨戦態勢を整えるレイラさんが、その危険を冒しながらも会話を試みてくれる。

 交渉という意味でなら、その判断は正しかっただろう。だがそれは、相手側にこちらの生存がメリットになる前提の話だ。…言い換えれば、オレたちと会話する事で益があるのか。


「そうか、残念だヨ」


 答えはノー、時間がもったいないの結論で門前払いを食らうだろう。なら、この不審者が取る次の行動も、予想はつくのではなかろうか。


「『地雷海マインベイ』、起動」


 不審者のその言葉と共に、カチリと嫌な音が足底から聞こえた。確か、映画で見たことがある。爆弾の起動音、だったような、気がーー。


「カケル様!危険ですので、もっと後ろにお下がりください!」


 そうしたいのは山々だが、今動くのは危険だとオレの脳が訴えている。この危険信号の発信源を特定してからでも、遅くはない筈だ。

 そんな事情を知らないレイラさんが、なかなか下がらないオレに業を煮やしたらしい。


「失礼します、カケル様!」


 レイラさんによって押し出され、「あっ」と声をあげ、軸足がふわりと浮き上がる。

 視界すべてを奪う鈍い光と轟音と共に高熱に突如晒されたオレは。視覚も聴覚も、最後にはすべての感覚を失くして。そして命を繋ぐ線すら手放したのだった。


(BAD END LOG02「マインスナイパー」)

突然の爆撃、お許しを。ただし、チャンスを棒に振った者の末路なら致し方なし。

どのような過程を経ても、今回使った扉から牢屋の外に出てしまうと結末は同じです。現段階でこの爆弾魔に真正面から向かっていくのはNGとなります。

そもそも、それ以外の方法を使って外に出る必要がありそうですが…?


Aルートは後日更新予定です。今しばらくお待ちくださいませ。


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●今回の選択ミス

上記の通り、忍者女ソレイユと会話を続けずに牢屋を出てしまった事です。…え?それ以外の条件はないのかって?

ボロい黒フードコートの仮面男との戦闘は、現時点では詰み案件です。大人しく女神様だれかに任せましょう。でも女神様との即時連絡は取れないし、一体どうしたら合流できるのか?


ーーえ?もうこれも説明しているだろうって?そんなー。


●どうして女神様と戦わせる必要があるの?レイラが戦闘しても良い気がするけど…

単純に相性の問題です。格闘戦を得意とする者の永遠の課題、遠距離に放つ恩恵ちから持ちとの相手は流石のヒロインちゃんも不得手。特に回避する為の空間が狭い為、どうしても防御に回りがちになります。そうなると…BAD END LOG1の再来ですね。


そもそもヒロインちゃん、主人公君に攻撃の照準が定められてしまうと防御に回りがちです。つまり、主人公君()刺客からしっかり逃げる必要があります。

刺客に追い付かれてしまうと当然ながらアウト、護衛のヒロインちゃんが力尽きてもアウト。ヒロインちゃん以外の味方が傍に居れば話は別ですが、基本的にこのシナリオ構図は変えません。


その為、遠距離戦が得意な人物の力を借りる必要があるという訳ですね。それまでは主人公君、頑張ってかくれんぼするんだよォ!

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