第1章閑話2(人間耐久力コンテスト)
第1回人間耐久力コンテストのお時間がやって参りました。審査員のレイラさん、司会の私カケルがお送りいたします。
早速ですが本日のエントリー選手の紹介です。まずはこの男、こちらを威嚇する野犬のような表情で睨みつけております。アメフト選手を彷彿とさせる巨軀と鋭い眼光、そして垂れ流し続ける涎が特徴的な彼!名前は何と言うのでしょうか?
「うぉらァアアアッ!!」
おおっと、名乗りも上げずいきなり石斧を振り回していく!この辺りはやはり蛮族と言ったところでしょうか!?
「まずは1人目です」
その石斧の軌跡を、危なげなく回避!そこへすかさずーー鳩尾を打ち抜く拳一閃だァ!!名知らずの大男、たまらずダウン!そのままコンテスト脱落ゥ!!
続いてエントリーナンバー2、こちらも負けじと大柄な体格の男。その丸太のように太い腕を存分に振るい、得物の鉄槍で審査員を突き刺そうと飛びかかっていきます!
「うりゃあああっ!」
振り下ろされる豪撃、しかしこれは惜しくも空を切る!その攻撃直後の隙を見逃さないレイラさん、横薙ぎの一蹴がーー男の腹を捉えたァ!!
「ぐえァッ」
蛙が潰れたような悲鳴と共に、サッカーボールの如く巨体が吹き飛んでいくゥ!!ノーバウンドでシュート決まったァ、家屋の倒壊のオマケ付きだァ!!
「あっ」
…これには思わずレッドカードを出しそうになりました私。次は気を付けてください、レイラさん。バツの悪そうな表情でこちらを見てもダメです。
「このアマッ、どこにそんな力隠してやがった…!!」「だが遠距離なら自慢のパワーも関係ねぇッ!」
乱入するエントリーナンバー3番と4番、こちらは杖を構えています!この夢世界に来て、私、初めて魔法攻撃を目の当たりにします!正直楽しみですね!
「「光の柱!!」」
意外ッ、それは光術!…時にレイラさん、光術って珍しいと言っていませんでしたっけ。
「一般に広く知られている属性ですからね、別段珍しいかと言われれば実はそこまでだったりします。…ですが、同じ光術でも纏う事しかできないとなれば話は別です。私が国で重宝されたのも、この特異性ゆえですからね」
解説どうもありがとうございます。並行して光の柱を拳でへし折る実践もしていただきありがとうございました。…本当、どうなってんのこの人の身体能力。
「コイツ、魔術を物理で叩きのめしやがった…ゴバァッ!?」「ブベェッ!?」
テンプルを的確に打ち抜くレイラさんの拳が、まるで鞭のようにしなっております。いよいよ審査員が化物じみてまいりました。果たして、レイラさんのお墨付きをもらえる耐久力自慢はいるのでしょうか!?
「こ、コイツ…強ぇ」「あの女、只者じゃねぇ」「くそっ、だったらせめてアイツだけでも…ッ!」
あれ、次の3人が私の方を見ていますがどうしたのでしょう。いやいや、そんな。私、ただの観客ですから。一般参加受付してないって言われましたから。
「「「この弱そうなオッサンを吊るし上げろオルァ!!」」」
すみません調子こいてました助けてレイラさん!!
難航しております。1/30までには次を投稿したいです…
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●この主人公、ヒロインに戦闘を押し付けて何やってんの?
右を見ても左を見ても、何もかもが分からない世界で遂に気分がトランスしてしまっただけ。レイラも表情には出さないが、内心では困惑している。
●それはそうと、ヒロインの戦闘能力高すぎじゃない?
こと魔法を行使しない肉弾戦において、月の国・太陽の国どちらの強者を並べても右に出る者はまず居ない。
その中でもレイラは、拳をメインとした徒手格闘を得意としており、特別鍛えた得物でもない限り、軽々と武器そのものを(浄化の恩恵を用いながら)破壊していく。その為、レイラと相対する時は自然と格闘戦を強いられる事になる。




