51色 鏡の中になにがある?
わたしの名前は天海葵。魔導具発明で生計を立てている。いわば発明家だ。今日も今日とて魔導具の発明も兼ねて依頼された魔導具造りに勤しんでいた。
「よし、これで完成っと」
マコトに頼まれていた魔導具のメンテナンスを終えてわたしは伸びをして硬くなったカラダをほぐす。
「もうこんな時間か…」
わたしは時計を確認すると深夜の2時過ぎを指していた。
「まったく、マコトのやつ、急に魔導具のメンテナンスまたは改良をしてくれなんて持ってくるし明日取りに来るって一言だけいってさっさと帰るんだから!夜中に仕事押し付けられるこっちの身にもなれってんだ!」
なんてマコトのいつもの行動に愚痴りながら紅茶を一杯淹れて落ち着くことにする。
「まあ、仕事の後の一杯は美味しいねー」
自分の淹れた紅茶に自画自賛しながらわたしは椅子に座り落ち着く。
「…この数年いろいろなことがあったな」
ふと、わたしはそんなことを思い呟く。
確かにこの数年いろいろなことがあった。昔から好きな発明をしていたらそこそこ有名になってしまったりお金もそこそこ手に入れた。
それにここ数ヶ月がいろいろとありすぎた気がする。神獣と出会ったり、本に宿るマモノと戦ったり、大企業の集まるパーティーに招待されたり、ミズキとクウタくんの幼馴染のはーちゃんとも再会できた。むしろいろいろとありすぎな気がする。
「ここ数ヶ月が濃すぎでしょ」
わたしは思い出しながらクスリと笑う。
「もしかしたら、こんなことがなかった可能性もあったりしてね」
なんて考えているとわたしはあるものに気が付いた。
「あれ?あれってなんだろう」
わたしは魔導具を置いてある机に身に覚えのないものがおいてあることに気がつく。
「これって『鏡』?」
それは手鏡の様なものだったけど変わった形をしていた。鏡の上の方に赤色の石の様なものがはめ込まれていて禍々しい魔力を感じた。
「まさかこれって『呪魔導具』!?」
なんでこんなものがここに!?とりあえずマコトに報告しないと!
わたしは急いでマコトに報告しようとケータイを取りに行こうとした瞬間。突然、鏡が強く光出した。
「!?なに!?」
驚くわたしをよそに鏡は更に激しさを増して辺りを包んでいった。
「うわあぁぁ!!」
自分の叫びを最後にわたしの意識は途切れた。