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カラーメモリー 【改稿前】  作者: たぬきち
幼馴染とひさしぶり編
42/59

42色 幼馴染は覚えてない

 クロロンの思いもよらない言葉に教室内は静まりかえった。


「え?え?いきなり冗談キツイナー、わたしだよわたし!」

「わたしわたし詐欺の方ですか?」

「違うよ!?」

 

 モリメさんはすごく動揺しながらいう。


「…クウタ本当に覚えてないのか?」


 クロロンの発言にシアンは驚きながら聞く。


「え?…うん、みっくんはしってるの?」


 驚いているシアンとは逆にクロロンは頭にハテナを浮かべる。


「クウくん!わたしだよ、ハヅキだよ!」


 モリメさんはクロロンに必死に訴えかける。


「はい、守目さんごめんなさいね。今は授業中だから授業が終わったらお話してくださいね」

「は、はい」


 先生にいわれわたしたちは席に戻って授業を受けた。しかし、みんなさっきのことが気になっているみたいであまり授業に集中できていないようだった。わたしはいつもだけどね。


「クウくん!」

「は、はい!?」


 授業が終わるやいなやモリメさんはクロロンに詰め寄る。


「わたしだよ!わたし!」

「わたしわたし詐欺の方ですか?」

「違うよ!?」

「再放送ですわね」


 さっきとまったく同じ会話をはじめた。


「…クウタ本当に覚えてないのか?」

「そこも再現するのか?」

 シアンも会話に乗る。

「え?…うん、みっくんはしってるの?」

「クウくん!わたしだよ!ハヅキだよ!」

「…ひっ!?」


 モリメさんはクロロンの両肩を掴むとクロロンはビクリとして少し震える。


「え?クウくん…どうしたの?」

「…ハヅキ…とりあえず、クウタから手を放したほうがいい」


 クロロンの様子をみたシアンがモリメさんにいう。


「え?…うん」


 モリメさんはクロロンから手を放す。


「ご、ごめんね…ぼく、JKなんだ…」

「え?JK?」

「J(女性)K(恐怖症)の略だね」

「あ、そうなの…って、ええ!?なんで!?」

「まあ…話すと長くなるけど」

「ちょっと訳ありだ」

「でもでも!ならなんであなたたちはクウくんと話せるの!?」


 モリメさんはわたしとフラウムに詰め寄る。


「わたしとクロロンはトモダチだから」

「まあ、その通りですわね」

「わたしこそ幼馴染特典が付いてるから!てか、クロロンってなに!?」

「クロロンはクロロンだよ?」

「あれ?もしかして、言葉が通じてない?」

「アカリさんの癖ですわ」

「え?癖?」

「親しい友人のことを『色』関係のニックネームを付けるんですの」

「色?」

「ワタクシの場合は《黄色》という意味のフラーウムから『フラウム』。天海さんは水奇(みずき)の《水色》という意味から取って『シアン』。そこのメガネは日紫喜の《紫》と怜太(れいた)の名前そして、ビオレータという意味から取って『レータ』。という感じで緑風さんは《緑》という意味のクローロンから取って『クロロン』ってことですわ」

「意外と考えられてるニックネームに驚いたよ!」


 わたしのニックネームの由来に驚きながらもモリメさんは自信満々に答える。


「クウくん!大丈夫だよ!わたしは幼馴染だから!」

「…!?」


 モリメさんはクロロンにもう一度触れようとしたけどビクリと反応したクロロンをみてフラウムが慌て止める。


「モリメさん、天海さんの証言があるので幼馴染というのは信じますが、今は緑風さんに触れるのはやめて頂きますわ」

「もお!さっきからなに!?」


 フラウムに抑えつけられてモリメさんはご機嫌斜めだ。


「まあ、とりあえずクウタが君のことを覚えてないのは本当みたいだし昔ミズキと一緒に君と面識があったシーニさんに確認しに行ったほうがいいんじゃないかい?」

「シーニ?」


 シーニという言葉にモリメさんは首を傾げる。


「…ねえのこと」

「あ、あっちゃんのことね」


 モリメさんはシアンの説明に納得する。



 レータの提案でわたしたちはシーニの元へ向かうことにした。


「そういえば、クロロン昨日のアニメみた?」


 シーニの元へ向かう途中わたしはふと昨日のアニメのことを思い出し隣を歩くクロロンに話しかける。


「うん、みたよ」

「昨日のあのシーンおもしろかったよね」

「うんうん、イエロウがレッゾに女の子ってバレちゃって驚くんだよね!だけど、気づいてなかったのがレッゾだけなんだよね」

「ホント、レッゾってにぶいよねー」

「そうだね、なんであんなににぶいんだろうね」

「ちょっと!距離近くない!?」


 突然、モリメさんはわたしとクロロンの間に割り込んできた。


「うぇ!?」

「あなた…えっと…そう、いろのさん!クウくんと距離が近いよ!」

「そ、そうかな?」

「そうだよ!だから、離れて!」

「…おちつけ」

「ちょっ!?みっくん!?」


 モリメさんはシアンに肩を抑えつけられてクロロンから放される。


「まあ、今は仕方ありませんわ。緑風さんが怖がってますから」

「それはそれでわたしが悲しいよー!」


 シアンに抑えつけられながらモリメさんは暴れる。


「初対面の人にいうのは失礼だと分かってはいるが、騒がしい人だね」


 レータはメガネをクイッとやりながらため息混じりにいう。


「なに?メガネくん、ちょっとムカつく」

「それは同感ですわね」

「おい」


 そこだけなぜか意気投合する。



 シーニの研究所兼シアンの家に着いたわたしたちは家にお邪魔する。


「…ただいま」

「おじゃまします」


 わたしたちは口々にいいながら家に入る。


「おかえりー…って、ええ!?はーちゃん!?」


 シーニはいつも通り出迎えてくれたけどわたしたちと一緒にいるモリメさんをみて驚く。


「ひさしぶり!あっちゃん!」

「ひさしぶり!」


 感動の再会をした二人は抱きあう。


「こっちに戻ってきたんだね!」

「うん、最近こっちに戻ってきたんだ」


 うれしそうに話す二人をみたフラウムとレータが少し驚いていた。


「二人ともどうしたの?」


 そんな二人にわたしは聞く。


「いや、疑っていた訳ではないけど尚更クウタが覚えてないのが妙だと思ってね」

「え?覚えてない?」


 その言葉にシーニは反応する。


「前もそんなようなこと言ってたけど本当に覚えてないの?」

「え?…と、アオイさんも覚えてるってことは…ぼくがおかしいのかな?」


 クロロンは不安な顔になる。


「ちょっと、詳しく聞いてもいいかな?」


 シーニはここにくるまでの経緯を聞く。


「なるほど、前のあの時もおかしいと思ったけど本当に覚えてないみたいだね」


 わたしたちからの話を聞いてシーニは顎に手を当てて考える。


「あれ?そういえば…あの時…」


 なにか思い出したのかシーニはハッとする。


「どうしたの?」

「いや、もしかしたらピンコならなにか知ってるかもと思って」

「え?魔女のおねえさん?」

「呼んだかのう?」

「え?」


 わたしたちは声のした方をみると魔女のおねえさんがイスに座ってお茶を飲んでいた。


「あれ!?おねえさんいつのまにいたの!?」

「ずっとおったぞ」


 驚くわたしにおねえさんは冷静に返す。


「ねぇ、ピンコ確かあの時なにか意味深な反応してなかった?」

「そういえば、あの時はクーのことで話がそれた感じがしたけど気になる反応をしてたね」


 レータも思い出したのかいう。


「まあ、あの時はハッキリとはわからんかったが改めて『確認』するとやはりそうかという感じじゃのう」

「なんだよ、なにか知ってるなら教えてよ」


 紅茶を飲みながらいうおねえさんにシーニはせかす感じで聞く。


「そんなせかすでないせっかくお主の淹れてくれた紅茶を味わえんじゃろう」


 おねえさんは紅茶をしばし味わった後にコップを机におく。


「さて、待たせたのう」


 そして、立て掛けてあった杖を取り立ち上がるとクロロンに近づく。


「クウタさんや少し失礼するぞ」

「?」


 そういうとおねえさんはクロロンをじっと見つめる。


「み…見つめすぎじゃないですか?」


 それを見ていたモリメさんが少し不機嫌そうにいう。


「すまんすまん、別に奪ったりはせんのじゃよ」

「どうだった?」


 シーニがおねえさんに聞く。


「やはりなにかしらの『魔法を受けてる』みたいじゃのう」

「え!?魔法!?」


 おねえさんの言葉にわたしを含めてみんな驚いた。


「魔法ってどんな?」

「まあ、無難に考えて『記憶操作』とでもいうかのう」

「『記憶操作』?」


 シーニがおねえさんに聞き返すとおねえさんはうなずき話を続ける。


「クウタさんのカラダを魔力感知を強めてみてみたら頭の中つまり脳になにか魔法がかけられている痕跡があったのう。それもかなり昔に」

「昔?」

「それってどのくらいですの?」


 フラウムの質問におねえさんは少し考える素振りをして口を開く。


「そうじゃのう、ざっと見積もって『10年』かのう」

「10年!?」


 10年という長い時間にわたしたちは驚愕する。


「あ…もしかして…」


 おねえさんの言葉になにか気づいたのかモリメさんは青ざめていた。


「どうしたの?はーちゃん?」

「ごめん…クウくん」

「え?」


 モリメさんの様子に気がついたシーニが聞くとなぜかモリメさんは謝る。


「え?なんでモリメさんがあやまるの?」


 突然謝ったモリメさんにわたしは聞くと青ざめながら衝撃の言葉を口にした。


「クウくんの記憶消したの『わたし』かも…」


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