41色 幼馴染とひさしぶり?
やっほー!わたし色野灯どこにでもいる普通の女の子!今日も快晴の空の下わたしはウキウキしながら学校の廊下を歩いていた。
「おはようアカリちゃん」
わたしは二人の別のクラスの女の子に話しかけられた。
「あ、おはようミヤタさん、ハナザワさん」
二人に挨拶をする。
「聞いたよー確か今日だよねー?アカリちゃんのクラスに『転校生』がくるの」
「うん、そうだよ」
そうわたしがワクワクしていたのは『転校生』がわたしのクラスにくるからだ。
「どんな子か楽しみだなー」
わたしはなにを話そうかと考える。
「でも、転校生の子もかわいそうだよねー」
「え?なんで?」
「アカリちゃんはともかくさー緑風がいるんだよー」
「え?クロロン?」
「アカリちゃんもしってるでしょ?緑風がどんなやつなのか」
「でも、クロロンはやさしいよ」
「…クロロンって、なに?その呼び方」
「わかったー腹黒のクロだねーアカリちゃんセンスいいー」
「ち、違うよ!クロロンは腹黒じゃなくてかわいくてやさしくてそれにいい子なんだよ」
わたしは必死にクロロンの悪口を止める。
「アカリちゃんは騙されてるんだよ。緑風はサイテーでグズなやつなんだよー?」
「そ、それは…!」
「アナタ方朝から随分と不愉快な会話をしていますわね」
わたしが言い返そうとするとフラウムが会話に入ってきた。
「フラウム!」
「き、黄瀬お嬢様…」
「おはようございます…」
二人はたじたじと挨拶をする。
「アナタ方、朝から人を悪くいうとは随分と元気なお口ですわね」
「でも、黄瀬お嬢様!なぜいつもあの緑風のことを庇うんですか!?」
「そうですよーだって『あの』緑風ですよー」
二人はクロロンの悪口をやめない。
「聞きますが、アナタ方は緑風さんと会話はしたことはありますの?」
フラウムは冷静に聞く。
「話すもなにも『噂』が物語ってるじゃないですか」
「そうそう、そんなやつと話したら気分が悪くなるよー」
「………」
「噂ですか…ろくに彼のことを知らない癖に噂話だけで彼の全てを決めつけるんですのね」
フラウムは静かに息を吸うといい放つ。
「そんなアナタ達に人を語る資格があるとでも思っているんですの?おこがましいにも程があるわ!」
フラウムは冷静な言葉だったけど静かな怒りの籠った目で二人を睨み付けると二人はビクッと震える。
「なによ!わたしたちは間違ってないわよ!」
「あー朝から気分わるーい」
二人は捨てゼリフを吐きながら去って行った。
「フラウム…ありがとう…それに、ごめんね」
「アカリさんは悪くありませんわ」
クロロンを守ることが出来なくてわたしが謝るとフラウムがいってくれる。
「そうだよ、いろのさんは悪くないよ」
「!?」
突然後ろからそういわれわたしとフラウムが振り返るとクロロンとシアン、そして、レータの三人がいた。
「緑風さん…聞いていたんですの?」
「ぼくこそごめんね、二人に変な思いをさせちゃって」
逆にクロロンに謝られてしまった。
「気にするなっていうのは簡単だけどそうもいかないだろうね。だけど、僕達はあいつらよりもキミを分かってるつもりだよ」
「れいたくん」
「…クウタのこと昔からしってるからいえる」
「みっくん」
シアンはクロロンの肩に手をおきいう。
「二人ともありがとう」
クロロンは二人にお礼をいう。
「じゃあ、さっさと教室に行こうか」
レータにいわれわたしたちは教室に向かった。
教室についたわたしたちは授業の準備をしながらいつも通りの会話を楽しみ授業がはじまる時間になると自分たちの席に座った。そして、しばらくして先生がはいってきた。
「皆さんおはようございます」
「おはようございます!」
わたしたちは口々に先生に挨拶をする。
「皆さんも知っての通り今日は転校生がきます」
「どんな子かな、楽しみー!」
「そうですね、では、いきなりですがみんなに挨拶してもらいましょうか」
先生は教室の入口に向かって「入ってきていいですよ」というと教室のドアが開かれて黄緑色のショートヘアの髪でキレイなエメラルド色の目をしたかわいい女の子がはいってきた。
「ふぇーかわいいこだね」
わたしは隣の席のシアンにいうとシアンはなぜか驚いた顔をしていた。
「?どうしたの?シアン」
「はい、色野さんごめんなさいね。今は授業中ですよ」
「は、はい、すいません!」
シアンに聞こうとしたら先生に注意されてしまった。
わたしはもう一度女の子を見ると少しフシギに思った。
(あれ?どこかでみたことあるような?)
なんて考えていると先生が話を続ける。
「では、守目さん自己紹介の方をお願いします」
女の子は先生に「はい」と一言答えると自己紹介をする。
「わたしの名前は『守目 葉月』です。今日からこのクラスでお世話になります。そして、『久しぶり』」
「え?ひさしぶり?」
女の子の突然の一言にわたしたちは少しざわつく。しかし、シアンだけは彼女の言葉に動揺していなかった。
「…ひさしぶり」
「え?」
シアンから出た言葉にわたしは驚いた。
「よかった!やっぱりみっくんだね!」
モリメさんはうれしそうにシアンの元に走ってきた。
「あら?天海くんと知り合いだったんですか?」
先生も驚きながら聞く。
「はい!わたしとみっくんは幼馴染なんです」
「ええ!?」
わたしたちは驚きの声をあげる。
そして、わたしは思い出した。
「ああー!?もしかして、シーニの研究所でみた写真の女の子!?」
わたしは少し前にシーニの研究所でみた写真のことを思い出す。
「あ、本当ですわ!アナタ、何処かでみたことあると思いましたわ」
フラウムも思い出したようだ。
「あれ?ということは…シアンとあなたと『もうひとり写ってた』よね?」
わたしたちはそのもうひとりの人物に注目する。
「まあ、初対面の人達に写真を見られていたのは恥ずかしいけど、そうその通りよ!会いたかったよー!クウくん!」
「!?」
そういうとモリメさんはクロロンに抱きついた。
「な!?アナタ、いきなりなにを!?」
それをみたフラウムは動揺する。
「久しぶりー!何年ぶりかな!?昔っから顔が変わってなくて一目でわかったよ!」
モリメさんはすごいうれしそうにクロロンに抱きつきながら聞くけど、なぜかクロロンは顔を青くして少し震えていた。
「クロロン?どうしたの?」
わたしはクロロンが心配になり聞く。
「どうしたのクウくん」
モリメさんも異常に気づいたのか聞く。
すると、クロロンは震えながら思いもよらない言葉を口にした。
「ど、どちら様でしょうか?」